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SPECIAL INTERVIEW


2024年芸能生活50周年を迎え、今後の更なる活躍を語ってもらった。


「松平健」スペシャルインタビュー
取材日:2024.03.16


金ぴか衣裳を身にまとい、キャッチーなメロディーを歌って踊る
『マツケンサンバⅡ』が大ヒット、
今やポップアイコンとして老若男女に人気を博すマツケンこと松平健が、
箕面市立文化芸能劇場のグランドオープン記念公演を開催する。
2024年は芸能生活50周年、秋には初の朝ドラ出演も控え、
ますます目が離せない!


箕面市立文化芸能劇場のグランドオープン記念公演ということで、箕面市に由来はありますか?

呼んでいただいて光栄です。箕面市は一度、行ったことがありますよ。

今年は『マツケンサンバⅡ』のリリースから20周年ですが、息の長い楽曲になりました。作られた当時はそういう歌になるという予感めいたものはあったのでしょうか?

作った当初はNHKの『紅白歌合戦』に出るようにと頑張っていましたね。それが2004年・2021年に出場できたので、嬉しかったです。


このビジュアルのコンセプトはどういうふうに決まったのでしょうか?

やっぱり「サンバ」ですので、リオのカーニバルとか、そういった印象がありました。楽曲ができた当時、スパンコールのキラキラした着物はなかったので、曲のイメージに合わせて初めて作りました。

今でこそ「マツケン」というひとつのポップアイコンになっていますが、当時はファンの皆さんも驚かれたのでは?

そうですね。ただ、舞台では『マツケンサンバⅡ』を歌っていて、ずっとこの着物で出ていましたので、劇場に来られる方にはすっかり認知されていました。リリース後にテレビで初めて見た方からは「将軍のイメージが壊れた」なんて声もありました。ショッキングだったのだと思います(笑)。

不思議な巡り合わせと言いますか、『暴れん坊将軍』のオンエアが終わった年に『マツケンサンバⅡ』が脚光を浴びました。

そうですね。だから、タイミング的にもすごく助かりましたね。


今では日本全国でコンサートを開催されています。歌の力を感じることも多いですか。

やっぱり明るい歌は気持ちが伝わりやすいですよね。気持ちが和んだとか、元気になったというお声も多いです。そういった意味で、歌の伝える力はすごいなと思います。私自身も歌に励まされました。若い頃なんかは坂本九さんの『上を向いて歩こう』をよく口ずさんでいましたが、いつもポジティブな気持ちになっていました。

俳優と歌手活動、二足の草鞋を履くことは良い切り替えになっていますか?

そうですね。お客様も層の違いが見えますし、『サンバコンサート』では特に若い方がずいぶんいらっしゃいます。あと、20年前にはまだ子供だった方が成人して、お子さんと一緒に来られる方もいるし、おばあちゃん、お母さん、お子さんと3代で来られる方もいますね。

今や松平さんのご活動は多岐に渡っていて、公式YouTube『マツケンTube』ではいろんなことに挑戦されています。

あれは若いスタッフの発想で、いろんな企画を出してくれるので、私はそれに乗っているだけです(笑)。急に「100の質問」をされたり、動く人形に同時に「オレ!」と言わせる企画もあったりして…あれは苦労しましたね(笑)。でも、企画にはできるだけ応えようと思っていて、流行っているものをいろいろやらせてもらっています。

今、「マツケン」が開運アイコンにもなっているとか。開運アドバイスをおひとつ、いただけないでしょうか。

いや〜、前向きに生きればいいのではないですかね(笑)。

ありがとうございます!今秋はNHK連続テレビ小説『おむすび』にもご出演されます。撮影はいかがですか?

福岡弁を使うので、今はその練習をしています。

松平さんの福岡弁は新鮮ですね。

そうですね。役もちょっと飛んでいる人物像なんです。主人公の祖父なのですが、優柔不断というか、自分勝手というか、ホラ吹きというか…(笑)。

今までにないイメージですね。

そうです、そうです。でも楽しいですね。

最後に、箕面市文化芸能劇場でのコンサートに向けて、メッセージをお願いします。

楽しんでもらうことが一番です。とにかく明るい歌が多いので、『サンバコンサート』で元気になっていただければいいなと思います。

◎Interview&Text/岩本和子
◎Photo/安田慎一



8/12 MONDAY・HOLIDAY
箕面市立文化芸能劇場グランドオープン記念
「マツケンサンバコンサート 2024」

■会場/箕⾯市⽴⽂化芸能劇場 大ホール
■開演/13:00、16:00
■料金(税込)/全席指定 1階席¥6,500 2階席¥5,500 学⽣席¥2,000
■お問合せ/箕⾯市⽴⽂化芸能劇場 TEL.072-726-3000(10:00〜17:00)
※未就学児⼊場不可



「La Mère 母」「LeFils息子」で、父・岡本健一と2度目の親子共演!


「岡本圭人」スペシャルインタビュー
取材日:2024.02.05


フランスの劇作家フロリアン・ゼレールの家族3部作から
『LeFils息子』と『LaMère母』が同時上演される。
父親、母親、息子それぞれが家族の在り方を模索する、苦悩と孤独の物語だ。
息子ニコラ役を務めるのは、トップアイドルを経て、実力派俳優の道を歩む岡本圭人。
“憧れ”の父・岡本健一との2度目の親子共演に目を輝かせて、舞台の魅力を語った。


2年半ぶりに『LeFils息子』が再演されます。意気込みをお聞かせください。

2021年に俳優として独立して、初めての舞台が『LeFils 息子』でした。当時は憧れの父親(岡本健一)と初共演するプレッシャーもありましたし、「本当に自分は芝居ができているのか?」と自問自答しながら、ニコラを演じることだけで精一杯だった思い出があります。あれから多くの舞台やドラマに出演させていただいて、役者としての経験を積み重ねてきました。成長した姿で、作品をお客様にお届けできることが楽しみです。

初演時とくらべて、どのような変化がありますか?

今回、あらためて台本を読んだときに、以前とは違う感覚がありました。それは父親ピエールや母親アンヌの台詞が、より深く自分の心に刺さるようになっていたことです。初演時はニコラを中心にしか考えられなかったのが、いまやっと少し俯瞰して見ることができるようになったのかもしれません。共演者からのエネルギーを受け取りながら、また新たなニコラをつくり上げていこうと思います。

すれ違い、ときに衝突する父と息子のあいだで厳しい言葉の応酬もあります。

たしかに、劇中には「親がこんなに強い言葉を子どもに言っちゃうんだ」と愕然とするような台詞もありますが、役者にとってはキツい言葉が“ギフト”になる。これは自分がアメリカの演劇学校にいるときに学んだことで、強い感情を台詞に込めて相手に届けて、それを受け止めて、返していく過程を丁寧にやりたい。舞台という生の空間で、役者が本当に辛いなとか、嫌だなとリアルに感じるほど、お客様の感動やカタルシスを生むと思うので、人間の脆い部分をさらけ出していきたいです。


ニコラのように悩んだ経験をされたことはありますか。

ニコラが「何をすればいいか分からない」って台詞をよく言うのですが、僕がアメリカで演劇を学んでいたときの姿と重なります。夢見てニューヨークに行ったのに、コロナ禍でブロードウェイも学校もクローズしてしまい仕事もなくなってしまった。その時は、本当に何もできなくて一番悩みました。僕には「どうしても舞台に立ちたい」という信念があったからこそロックダウンを乗り越えることができましたが、どこかの歯車が違っていたらと思うと、ニコラの苦悩は他人ごとではないです。

実の父親である岡本健一さんと親子役での共演も楽しみです。

父とはいつも舞台や音楽の話をしていますが、僕が出演した作品について「こうした方がいい」といったアドバイスをされることはありません。ただ、「父からこんなこと言われたな」とか「そのとき自分はどんな感情だったかな」とか、父との実体験を思い返しながら、ニコラという役に寄り添っています。ニコラが父親に対して「クソ野郎!」って言ったりするのですが、私生活ではなかなか言えないじゃないですか(笑)“言いたいけど言えない”という心情は、誰でも子ども時代に感じたことがあると思うので、共感してもらえるのではないかと思います。


日本初演となる『La Mère 母』についてはいかがですか。

3部作のなかで一番最初に書かれた作品なので、ニコラの原点があるのでは?と想像を膨らましています。フロリアン・ゼレールの書く物語はすごくリアルですが、謎が多いんです。「いま母親が見ているニコラは本当に存在するのか?」とかお客様に考えさせる空白がある。2作品にリンクする台詞があったりするので、『母』を観ると『息子』の謎が解き明かされるような仕掛けが面白いです。母親アンヌ役の若村麻由美さんとは、以前朗読劇「ラヴ・レターズ」で共演したとき、「自分にこんな気持ちがあったなんて」と驚くくらい感情が溢れてしまったのが衝撃的でした。この作品でも、若村さんとどんな化学反応が起こるか期待しています。

2作品同時上演の大変さはありますか?

昨年、父がシェイクスピアを2作品同時上演していたので、「父親にできるなら自分もできるだろう」って勝手に思っています(笑)すごい戯曲と演出で、素晴らしいキャストとスタッフと共に2作品を同時につくれるなんて、こんなに贅沢なことはありません。できるなら残りの『Le Père父』も入れて3作品同時上演したいくらい楽しみなので、大変だとはまったく思わないです。

30代を迎えて、今後の目標はありますか。

僕は目の前の仕事にしか集中できないタイプなんです。明日の自分がどうなってるかも分からないので、とにかく今を生きる(笑)アメリカに行く前は「ハリウッドが夢です」なんて言ってたけど、実際に行ってみたら方向性が変わりました。だからあまり将来を定めずに、いろんな可能性を追っていきたいです。もちろん海外で舞台をやりたいという夢もありますが、自分が観客として舞台に助けられたように、誰かの希望になれるような作品をつくっていくのが目標です。

穂の国とよはし芸術劇場PLATのお客様にメッセージをお願いします。

お客様も親子で観に来ていただけたら嬉しいです。自分の親や子どもを舞台に誘うのは緊張するかもしれませんが、家族がお互いのことを考えるきっかけになるはずです。劇場でお待ちしていますので、ぜひ一緒に足をお運びください!

◎Interview&Text/北島あや
◎Photo/安田慎一



6/29 SATURDAY ・30 SUNDAY
「La Mère 母」
6/29 SATURDAY
「Le Fils 息子」
■会場/穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール
■開演/「La Mère 母」13:00 「Le Fils 息子」18:00
■料金(税込)/全席指定 S¥10,000 A¥7,000 ほか
S席セット券¥18,000(枚数限定・プラットチケットセンターのみ取扱い)
■お問合せ/プラットチケットセンター TEL.0532-39-3090(10:00~19:00/休館日を除く)



伝説の歌舞伎役者「中村仲蔵」を演じる意気込みを藤原竜也が語る。


「藤原竜也」スペシャルインタビュー
取材日:2023.11.08


江戸時代に実在した、伝説の歌舞伎役者「中村仲蔵」の
波乱万丈な生きざまを描いた痛快エンターテインメント。
最下層の大部屋役者から成り上がる出世物語は、
2021年に6代目中村勘九郎の主演でドラマ化され注目を集めた。
新たにオリジナルの舞台戯曲として書き下ろされ、
40代を迎えた藤原竜也が役者としての新境地に挑む。


中村仲蔵は不屈の精神で芸の道を突き進んでいきますが、俳優としてご自分と重なるところはありますか?

15歳で俳優デビューしてからずっと厳しい演劇生活を送ってきましたから、地べたを這いつくばるようにもがいて、それでも上に行かなくちゃいけない、でもなかなか行けない——。そんな“どんよりした空気”を感じていたこともあります。自分は誰のため、何のために演劇をやるのか自問する瞬間があったからこそ、仲蔵が言う「この先に何があるか見てみたい」というセリフに共感しましたね。他者とのコミュニケーション方法は表現しかないと思っていて、僕ら役者は演技でお客様と会話するようなところがある。本番中に客席が食いついてこなかったら「芝居を変えてみようかな?」って、微妙に軌道修正したり、手法を変えてみたり、そういう駆け引きも面白いです。


脚本の源孝志さんが、「ドラマ版より先に“藤原竜也の中村仲蔵”で戯曲を書いていた」と仰っていましたが、舞台版ならではの魅力をおしえてください。

ホン(脚本)がほんとに面白いです。江戸時代や歌舞伎の世界、役者同士がけん制し合う楽屋内のヒエラルキー構造など、瞬時に観客を引き込んでいく源さんの手腕がすごい。あえて言えば、井上ひさしさん的な人間模様というか、喜劇から一瞬にして悲劇に撃ち落とされてしまったりする。壮大なストーリーは、いままでにない演劇世界を構築しています。僕はあまり大きいこと言うのは好きじゃないので、楽しんで見てもらえればありがたいなってタイプなんですけど…、これは“演劇の持つ力”っていうのを存分に発揮できる作品になっていると思います。

華やかな歌舞伎世界だけではない、複雑な人間心理も興味深いです。

仲蔵は一度死ぬような経験をして、そこから視界が開けて、もう一歩を踏み出していくのですが、それって学校や社会でもリンクするところがあるのではと思います。シェイクスピアもそうですが、ひとりの人生を最初から最後まで演じるというのは大変な労力がいる作業なんですね。だからこそ、人生の経験値としてお客様の心に残るんだと思います。


ドラマ版の主演を務めた6代目中村勘九郎さんと親交が深いそうですね。

歌舞伎は中村屋さん(勘九郎の屋号)のファンなので、昨年も「平成中村座 小倉城公演」を見に行ってきました。勘九郎さんとは年齢も近いですし、大河ドラマ「新選組!」で共演してから家族ぐるみでお付き合いさせていただいています。僕は6代目中村勘九郎を大尊敬していますが、長い付き合いでも入り込めないオーラを感じます。歌舞伎というものは面白いけれど、簡単に手を出してはいけない世界だと思う。当たり前ですが、彼らが2、3歳から稽古を積み重ねている歌舞伎を簡単に真似ることはできないので、我々はどうするかといえば、歌舞伎を“演劇”としてやるしかない。演劇としての「中村仲蔵」作品を成立させたいと思っています。

歌舞伎役者を演じるために、1年前から踊りのお稽古をされていると聞きました。

日本舞踊中村流八代目家元の中村梅彌先生に教えていただいています。いざ自分がやってみると、踊り方や所作のひとつひとつに歴史があって、深く偉大な世界に驚くことばかりです。僕はいつも、ジャージとTシャツにリュックサックというラフな格好でお稽古に行くのですが、暑くても寒くても稽古場に通っていた10代の頃を思い出しますね。40代になっても、知らなかったことを学べるのが非常に心地いいんです。正直、お稽古に「行きたくねえな」と思う日もあるけど(笑)、終わってみると「近所でラーメンでも食べて帰ろうかな」なんて、清々しい気持ちになってるんですよ。まるでデビュー当時の演劇少年に戻ったように、刺激的な毎日を過ごしています。

大阪SkyシアターMBSの杮落し公演になります。意気込みをお聞かせください。

杮落し公演をさせていただくのは非常に名誉あることで、ありがたいですね。完成度の高い戯曲になっているので、しっかりと稽古をして良い結果を残したい。SkyシアターMBSの杮落とし公演として、お客様に長く記憶されるように頑張ります。

公演中、大阪で楽しみなことは?

1年に1回はUSJに行ってるので、公演の合間に家族で遊びに行きたいなと。あとは、歌舞伎役者の方たちに連れて行ってもらった美味しいご飯屋さんがたくさんあるので、共演者と一息つける時間をつくりたいですね。

40代を迎えて、これからの活躍に期待が高まります。

役者としてのターニングポイントにふさわしい舞台を用意してもらって、「場所は整えた、さあどうぞ!」と背中を押されている感じです。やるからには好きなように、羽を伸ばして自分らしい表現をしていきたい。お客様の温かい拍手をいただけるように精一杯、真面目に稽古に向き合って、いい芝居をつくっていくだけだと思っております。ぜひ会場に足を運んでいただけると嬉しいです。

◎Interview&Text/北島あや
◎Photo/安田慎一



3/27WEDNESDAY〜31SUNDAY
Sky presents
舞台「中村仲蔵 ~歌舞伎王国 下剋上異聞~」

■会場/SkyシアターMBS(JR大阪駅西口すぐ)
■開演/3月27日(水)18:00
3月28日(木)・29日(金)13:00
3月30日(土)12:30、18:00
3月31日(日)12:30 
■料金(税込)/ 全席指定 S¥12,000 A¥9,000
U-25チケット¥3,000 ※25歳以下、当日引換券、要証明書、枚数限定
■お問合せ/SkyシアターMBS TEL.06-6676-8466(平日10:00~18:00)



恒例となった「平原綾香と開くクラシックの扉コンサート2024」を語る。


「平原綾香」スペシャルインタビュー
取材日:2023.12.08


東京新聞・中日新聞の連載「平原綾香と開くクラシックの扉」を
ライブ化した恒例のコンサートが3月に名古屋で開催される。
第一部では、連載で取り上げたクラシックの名曲を解説付きで紹介。
元CBCアナウンサー・小堀勝啓との息の合った掛け合いも聞きどころだ。
そして第二部は、平原綾香のヴォーカルとセントラル愛知交響楽団の共演。
今回の指揮を務める渡辺俊幸が作曲した「おひさま~大切なあなたへ」や
デビュー曲「Jupiter」ほか平原の歌の数々がオーケストラに彩られる。


選曲はどのようになさっていますか。

基本的には連載で取り上げた作品を中心に選んでいます。もともと思い入れのある曲や過去にカバーした曲も念頭に選曲しているので、必然的に私が好きな曲が多いですね。他には、漫画でブームになった曲や映画で有名になった曲も多いです。今回の「モルダウ(ヴルタヴァ)」は、私もそうでしたけど学校の合唱でよく歌われるので多くの方が知っているはず。「ペール・ギュント」の「朝」もCMで使われている曲です。パッヘルベルの「カノン」も有名ですよね。このコード進行を使えばヒット間違いなしと言われており「カノン進行」という言葉も生まれた、世界中で愛されている名曲です。



カノン進行について、もう少しお聞かせください。

ベースの音を順次進行させることが出来るのがカノン進行の特徴です。構成音が綺麗につながっているので全体的に美しいイメージのままで、何度でも繰り返したくなるコード進行。聞いていると、記憶を思い巡らすような感覚になるんですよね。また「カノン」は卒業証書を渡す時によく流れます。長い間聞いていても盛り上がりは少しだけで全体的に落ち着きがある。一曲通して聞いても、すべてがサビのようでもある。「何年何組の山田君の時がクライマックスだった」みたいにならないのがいいんでしょうね(笑)。

今回は二つのピアノ曲にも注目ですね。

ラフマニノフのピアノ・コンチェルト(ピアノ協奏曲第2番)は大好きなんですけど、生で聞くのはまだ少なくて。涙がチョチョ切れる本当にかっこいい作品で、20周年記念コンサートのツアーメンバーでもある大貫祐一郎さんがピアノを弾きます。私は大貫さんのピアノのファンなのでとてもうれしいですし、この曲を生で聞けるありがたさ!そして「カノン」「ペール・ギュント」「モルダウ」「ラプソディー・イン・ブルー」まで聞けちゃうコンサートは希少です。

もう一方の「ラプソディー・イン・ブルー」はどんな魅力がありますか。

奏者の力量にかかってくるというか、表現力が求められる曲だと思います。私がいちばん好きなのは出だしのクラリネットのソロ。グリッサンドという技法が使われていて、聞かせどころのひとつです。私は父(平原まこと)が吹くのを聞いていたので思い出深いですね。何回も聞きたくて、よくそのパートだけ吹いて聞かせてもらっていました。ピアノのインプロビゼーションも毎回楽しみ。奏者がアドリブで弾いていいんです。だからクラシックの技術もないといけないし、ジャズの素養も持っていないといけない。クラシカルな響きの中にジャズの要素が入っていますが、その即興パートをジャズっぽい感じで演奏するのではなく、その人の内から出てくるような、誰の真似でもない演奏が求められると思います。選ばれた人、選ばれたオケだけが演奏できるイメージがあり、今回も生で聞くことができるのが楽しみで仕方ないです。

百年後も残る作品を生み出すには何が必要でしょうか。

私自身で言えば、当たり前ながら心意気ですね。例えば海外で平原綾香の歌が流れた時に「違う曲を流してほしかった」という気持ちになるんだったら、それは本物じゃない。どの曲も、これが私ですと胸を張っていられるようなミュージシャンでいたい。だから常に、日本でも海外でも伝わる楽曲を作ろうと考えています。「日本人だから日本人に届けばいいや」ではいけない。そういう心意気は持っています。

連載から始まったコンサートですが、書くことへの想いは?

日頃はスマートフォンのメモにいろいろ書いてネタ帳にしています。エッセイをSNSで発表すると、大勢の方が読んでくれて、たくさんのコメントをくださる。私自身の気づきや、残しておきたい言葉…父や母、尊敬するミュージシャンからもらった言葉などもしたためてきました。いつかエッセイ集を出せたらいいなという夢もできました。

2023年を振り返りつつ、24年の展望を教えてください。

昨年は初めて「あ、忙しいな」と思いました(笑)。ミュージカルのお稽古と本番をやりながら、20周年のアニバーサリーアルバムのレコーディングをしたり、テレビに出演したり、コンサートツアーのリハーサルをしたり。「ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル」ではこれまでにない役を演じました。衣装の布の面積は少なかったけど(笑)、舞台を観たみなさんから毎回届く嬉しいメッセージに支えられて、毎公演全力で打ち込むことが出来ました。同時にいろんなものをやりながらの日々でしたが無事に乗り越えられたので、2024年も全力で生きていけそうです。やらなきゃいけないことが押し寄せても、スタッフのおかげで乗り切れたという想いです。父が亡くなって2年、自分がしっかりしなきゃと張りつめていました。男性がいなくなって、女性だけになると急に強く出てくる人がいるので、そういう人に負けないように私自身“オラオラ”してたんですよ。家族やスタッフを守りたかったんですね。2023年は忙しくて悲しくて、でも幸せで、オラオラした年だったなと振り返っております(笑)。それで今年は、デビュー以来初めて休暇を取ろうと話しているんですよ。ロサンゼルスにいるお姉ちゃんのところに母と二人で行っちゃおうと(笑)。甥っ子、姪っ子もいるので、いっぱい遊んで癒されて、また仕事を頑張ろうと思っています。あと、日本の美味しいお餅をロスの人たちに食べさせたい。お餅の情報を募集したらたくさん届いたので、お取り寄せしてロスで餅パーティを開くのが楽しみです。

◎Interview&Text/小島祐未子
◎Photo/安田慎一
◎Hair&Make Up/Hiromi 
◎Styling/Mariko



3/31 SUNDAY
Dear Classic.A-ya meets Orchestra.
「平原綾香と開く クラシックの扉コンサート2024」

■会場/Niterra 日本特殊陶業市民会館 フォレストホール
■開演/17:00
■料金(税込)/全席指定 S¥11,000 A¥9,900 B¥7,700
■お問合せ/CBCテレビ事業部 TEL.052-241-8118(平日10:00~18:00)
※未就学児入場不



世界的ダンサーのケント・モリが伝える「世界はひとつ」という思い!


「ケント・モリ」スペシャルインタビュー
取材日:2023.11.25 


世界的なダンサーであるKENTOMORIさんから直接学び、一緒に踊る。
魅力あふれるワークショップですね。
しかも、ダンス経験なし、0歳から100歳までOKとは。
本番のステージで体感する緊張感や震えるような高揚感、
スポットライトに当たりながら、一緒に練習していた仲間が
ひとつになって踊る感覚を心から味わってほしいと思っているんです。
本番のドキドキ感ってやっぱり特別なもの。練習だけじゃ味わえません。


ケントさんと一緒に踊ることで、人生が変わる人もいるのでは?

形は違えどこれまで同じようなワークショップをしてきましたが、確かに「1日で人生が変わりました」という声はありましたね。僕は、すべての活動を「夢職(むしょく)」と読んでます。夢の仕事です。今、戦争などで「人類はみな兄弟」であることが失われつつあるでしょ。僕は世界平和のために活動をしているし、僕たちの出身は地球でしょ?と。赤ちゃんって話すより先にリズムを取ってバウンスするんですよね。それは最もプリミティブなボディーランゲージ。これぞ原点であり頂点。使うのは自身のハートビートのみ。自然や宇宙のリズムと呼吸に鼓動を合わせ、感情も込めて波に乗る。それが言葉を超えた「舞」。八百万、天への祈りにもつながるんです。国や人種のような線引きはなくなって、みんな同じだったよねって感じられるんですよ。世界はひとつ、ダンスでひとつになれる。そこに魅力と可能性を感じているんです。それは、僕のヒーロー、マイケル・ジャクソンが教えてくれたこと。彼こそまさに“WearetheWorld”なんです。


マイケル・ジャクソンとの最初の出会いは?

子供のころ『BillieJean』の最初の一音を聞いた瞬間に僕に稲妻が落ちたんですよ!その瞬間から僕は今も夢の中に居続けていると思う。マイケルのダンサーオーディションに参加した当時、僕はマドンナの専属ダンサーでした。会場には5000人来てたようですが、周りを見て「100%勝った!」と思ったんです。その理由は?と問われたら“マイケルへの愛”ですね。僕が会場の中で一番彼のことを愛していたし、マイケルのためなら死ねるとまで思ってましたから。結局選ばれたもののツアーには参加できなかったのですが、マイケルが僕のダンスを見て、選んでくれたことで、不可能はないんだということを実感しました。僕の原点はHaveto(しなければならない)ではなく Wouldloveto(愛してやまない)。夢を見続けるには愛してやまないことをし続けるだけです。好きなことしかしたくない、そんな僕の武器は、「舞う気」と書いて「舞気ぶき」。我がままだけど僕の「我」がそこにあるので、それが「愛」とつながって起爆剤になるんですね。


マイケルより先に、マドンナの専属ダンサーとして活躍されていたんですよね。

僕、21歳で渡米したんですが、やりたいことはダンスだとはっきりわかっているのに叶わずにいて。2008年の1月の末に学生ビザからアーティストビザに変わり、最初のオーディションがマドンナで、いきなり一発目に受かっちゃったんです!だから僕の初の就職先はマドンナの専属ダンサー。実は僕、友だちが参加するから会場まで車で送っただけで、誰のオーディションかも知らず。周りを見渡すと、あれ?あの人はマイケルの演出をしているシェイミ—・キング!?と。課題曲『4Minutes』は名プロデューサー、ティンバランドが手掛けていたんですが、その音が鳴った瞬間「あ、これは俺が踊らなきゃだめだ、俺のもんだ」って思ったんですよ。この会場にもマイケルに関わる人達がいて、僕はここで最高峰のダンスの世界に引き入れられた。当時22歳です。周りが本当にとんでもない人たちで、一緒に踊ることが楽しくて仕方がなかったです。

マドンナに、マイケルへの追悼ダンスを指名されるほどの信頼関係になりましたね。

今でも一緒に仕事をしています。最近ではマドンナの40周年記念ツアーで、マイケルとマドンナが初めて共演を果たす踊りとストーリーを採用してくれて、振り付けも担当しました。彼らはツアーメンバーに妥協はしないんです。ツアーに僕が呼ばれることやいろんな形で共に仕事をすることは、よく考えると、小さいころから聞いてきたあのマドンナが僕を知ってくれていることに、頬っぺたをつねりたくなりますよ。

その世界最高峰の場所で体験している気持ちを今回みんなにも味わってほしいということですね。自分のダンスを踊ることは表現をすること、情熱をよみがえらせること。

そうです。そして、一番大事なことはNothingisimpossible、不可能はないんだ!ということです。生まれてきたことがすでにpossible。生きづらい人には、こんな生き方だってあるよ!と伝えたい。話を聞くのは百聞、でも実際に自分で体験してみることは一見でこれがすべて。百聞は一見にしかず。僕と一緒に踊りましょう!

◎Interview&Text/田村のりこ 
◎Photo/内池秀人



2/17 SATURDAY
「KENTO MORI LIVESHOP」
■会場/西神中央ホール
■開演/17:00
■料金(税込)/スタンダード席(指定席)¥3,900 VIP席(自由席)¥4,500
前方スタンディング席(自由席)¥2,000
■お問合せ/西神中央ホールTEL.078-995-5638(10:00~20:00)
※0~2歳まではひざ上での鑑賞無料(大人1人につき1名まで)
※3歳以上は席が必要な場合有料
※大きな音が流れるためお子様など心配な場合はヘッドホンなど持参ください

ダンスワークショップ
「KENTO MORI DANCESHOP」

■開演/[ビギナークラス]10:00~12:00
[アドバンスクラス]13:00~15:00
■参加費(税込)/¥5,000
■お問合せ/西神中央ホールTEL.078-995-5638(10:00~20:00)



「鎌倉殿の13人」での好演に続き、書き下し新作舞台「オデッサ」に主演!


「柿澤勇人」スペシャルインタビュー
取材日:2023.10.21


2023年にデビュー15周年を迎えた俳優・柿澤勇人。
劇団四季で経験を積み、舞台、ドラマ、映画と、活躍の場を広げてきました。
そんな彼の演劇人生におけるキーパーソンのひとりが三谷幸喜さんです。
「愛と哀しみのシャーロック・ホームズ」の主人公シャーロック・ホームズ、
大河ドラマ「鎌倉殿の13人」源実朝役と、近年の話題作に出演し存在感を示しています。
そして、書き下ろしの最新作「オデッサ」では主演が決定。
三谷作品に参加する醍醐味、演じることへの思いを聞きました。


今回の『オデッサ』は「言語」がテーマです。英語を話せない1人の日本人旅行客がある殺人事件の容疑で勾留され、語学留学中の日本青年が通訳としてやってくる。取り調べをするのは日系人警察官ですが日本語は話せない。登場人物は3人で言語は二つ。なんともスリリングな密室の会話バトルが繰り広げられそうですね。

そうなんです。まだ台本は出来ていない状態ですが、3人だけの会話劇ですね。言語として、日本語と英語は間違いなく使われるのだけど、日本語だって方言があるし、単純に標準語を使うかどうかも今の時点では解らないんです。きっと、本番になれば、2つの言語のほか、おそらく英語の部分には字幕も出るのかなと思うので、お客さんもグッと集中して、どんどん引き込まれていくんじゃないでしょうか。

以前「役を楽しんでいいんだ、と思わせてくれたのは三谷さんが初めてだった」とコメントされていましたが、三谷幸喜さんは柿澤さんにとって、どんな存在ですか?

当て書きをしてもらえることはとてもうれしいことです。俳優の個性や特徴を上手く取り入れて、より俳優が豊かになるように脚本を書いてくださると思うんですよ。シャーロック・ホームズの役を演じた時に、それを強く感じました。三谷さんは、僕が演じた『メリー・ポピンズ』のバート役に闇がある、悲哀がある、と感じたそうで。あんなに楽しい作品を観てですよ?(笑)僕が、演じれば演じるほど涙が出てきたらしくて。それこは、三谷さんにしかわからない感覚かもしれません。

なにか悲哀を生み出すような経験や挫折があったのでしょうか?どうやって克服を?

一番辛かったのは舞台上でアキレス腱を断絶した時ですね。ミュージカル『ラディアント・ベイビー』で主人公・キース・へリングを演じた時は、体力的にも精神的にも倒れる寸前で。僕っていつも2番手だったんです。でもこの作品は単独での主役。なのに客席は埋まっていない。とても評判は良かったんですが、こんなに命を懸けているのに結果が出ていないことが悔しくて、自分を追い込んでしまって。そのタイミングでアキレス腱が切れちゃった。もう、どん底まで落ちて、絶望ですよ。リハビリもどうでもよかったし、どんどんひねくれちゃって。そんな中でミュージカル『メリー・ポピンズ』のオーディションに受かったんです。天真爛漫に歌い踊る役。夢のような世界なんて、信じられない時期。周りに叱咤激励されて「やるしかない!」と日々演じていましたね。そんな複雑な感情を抱えた僕の演技に、三谷さんがシャーロック・ホームズを見出した。人見知りでエキセントリックな部分が、僕にもあるからかな?三谷作品に出た役者は、よく言っています。なんでこんなことまで見抜かれているんだろうって。


だからその役や作品をもっと知ってほしいと思うようになるのですね。

そうなんです。自分の役をすごく愛するようになっちゃう。三谷さんも、どんな役でも役者がその役を愛するように書かないと役者がかわいそうだ、と。その役を演じている間は、みんないきいきと生きてほしいって強く思っていると。だから、客席から三谷さんの作品を見ていると、なんで自分が舞台の上にいないんだよ、って思ってしまうくらい魅力的なんです。でも、やっぱり見る側と演じる側では全く違う。僕はもともとポジティブな人間じゃないから、芝居をやればやるほど怖くなっていくし、自信だってないんです。でも、三谷さんの作品に出ている自分は、みんなに見てほしいって強く思います。

辛いことがあっても、やはり役者を続けていく。その理由はどこにあるんでしょう?

演じること、特に舞台の仕事って、全身筋肉痛で早く帰りたいし、しんどい(笑)。でも、やめられないんです。役者はみんなそうじゃないかな。演じている時に、その役と自分の感情がリンクする瞬間がある。すごく気持ちいい瞬間が。たとえ一瞬だったとしても、それを味わいたいためにやってるのかな。例えば、子供たちと共演したら、すごくピュアな感情が引き起こされる。泣きの演技って実は、苦手なんですよ。でも、彼らといると自然に涙が出てくる。そういう時こそ、本当に心が動いているんですよね。自分にしか解らない感情を捕まえてリンクする、その瞬間があるからこそ続けていられるのだと思います。

最後に皆さんへ一言!

三谷さんの作品は、伏線が多く仕込まれています。それを回収していくのも楽しみのひとつなので、2日間連続で見ていただけるとより深く理解できるかも(笑)。それから、突然、役者も知らないところでサプライズが仕掛けられる時もあるんです(笑)。果たしてどんな会話劇になるのか!!舞台終わりのサウナとお酒も楽しみに、僕もがんばります。

◎Interview&Text/田村のりこ
◎Photo/安田慎一
◎Stylist/五十嵐堂寿
◎Makeup&Hairstyling/松田容子



3/2 SATURDAY・3 SUNDAY
「オデッサ」
■会場/Niterra日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
■開演/3月2日(土)13:00、17:30 3月3日(日)13:00
■料金(税込)/全席指定 ¥11,000 車いす席¥11,000 U-25¥5,500(観劇時25歳以下)
■お問合せ/メ~テレ事業TEL.052-331-9966(平日10:00~18:00)
※未就学児童入場不可



演歌界の貴公子が魅せるコンサートツアー。歌にかける思いを語ってもらった。


「山内惠介」スペシャルインタビュー
取材日:2023.08.26 


演歌・歌謡界の第一線で活躍するスター歌手。
現在、「コンサートツアー2023 ~歌うこころは万華鏡~」の真っ最中で、
大阪公演は10月23日にフェスティバルホールにて開催される。


今年の5月に40歳という大きな節目を迎えられたとか。2001年に17歳でデビューしてから歌に打ち込み、北海道でのラジオの仕事などでリスナーと絆を深め、徐々に多くの人々の心を掴んで、2015年からはNHK紅白歌合戦に8年連続で出演を果たすまでになりましたね。

しっかりと力を付けていけばきっと世に出られると思い、ひとつひとつのことを大切に頑張ってきたら、お客さまはそれをちゃんと見ていてくれた。応援してくださった皆さんには、本当に感謝しかありません。

デビューから23年。世の中の音楽の聴き方も変化し、今やネットでのサブスクが主流の時代ですが、シングルCDを新装盤で次々とリリースし、カップリングを変えながらロングセラーを続けられています。

いろんな聴き方をしていただいていいんですよ。あの曲なんだっけ?ってフレーズなどで検索したらスマホですぐに聴ける、昔からしたら夢のような仕組みがあるんだから、それを利用しない手はない…自分もそうやって過去の名曲をよく聴いています。でもCDにはCDにしかない魅力もある。沢山の方に“山内惠介”の歌を、長く聴いていただけたら嬉しいです。


3月1日に発表した楽曲『こころ万華鏡』が、オリコン週間シングルランキング(3月13日付)でこれまでで最高順位の2位を記録して、現在も大ヒット中です。

シングル曲は、ずっと恩師である水森英夫先生に曲を書いていただいていたのですが、今後の25周年などを見据えた長期的展望で何か新しいことにチャレンジしたくて、作詞はお馴染み松井五郎先生、作曲はクラシック・シーンで活躍されている村松崇継先生と初タッグを組ませていただきました。こころを万華鏡に重ねて、人生もこころも一瞬として同じ形がないからこそ、今を“いのちまっすぐ生きてみろ”そうすれば“そこがまっすぐ道になる”という力強いメッセージで、聴き手の背中を押すような「応援歌」になっています。ピアノに導かれた美しい序曲のような部分で始まり、そこから少し間を置いて、一気にドラマティックに幕を開ける、まさに村松先生ならではの作風で、今までにない新境地を開いていただきました!

「歌うこころは万華鏡」と、今年のツアーのテーマにもなっていますね。

客席とステージが一体となって、会場全体が万華鏡のような雰囲気に包まれる、そんなコンサートを目指します。お客さんも積極的に声を出したりして、ぜひパフォーマンスに参加して欲しい。一緒にアミューズメントを楽しみましょう。

大阪の皆さんもきっと楽しむ気満々で、今からコンサートの日が待ち遠しいはずです。

キャンペーンでも凄くお世話になっていますし、何と言っても大阪は、僕の歌手人生において記念すべき初座長公演を2017年にやらせていただいた忘れられない場所、夢を叶えてくれた街です。今でも新歌舞伎座に行くと実家に帰ってきたような懐かしい気持ちになります。それに大阪弁の響きが大好き!ふだんから「いらっしゃい!(※桂文枝師匠風に)」も「何でやねん!」も普通に使っています(笑)。実は僕の歌で、人情に厚い街・大阪のことを謳ったものはあまりないのですが、2013年に兵庫と東京で上演された初主演舞台《曽根崎心中》の劇中歌である『恋の手本』は強力なご当地ソング。あと2008年発売の8枚目のシングル『恋する街角』にも「雨の大阪 道頓堀あかり」という歌詞が出てきますよ。

歌の中に全国の様々な土地の風景が息づいていますね。そういえば九州のご出身なのに、北海道を舞台にした名曲も多いです。

地元の出身ではない僕が歌うことで、“郷愁”とは違うしみじみとした“旅情”を感じていただけたらと思っています。僕の歌で大阪の方にも北海道に興味を持ってもらえたら嬉しいし、北海道の人が『恋の手本』を聴いて「お初天神に行ってみたいな」って思ってくれたら素敵です。そうやって人と場所とを繋ぐ役割が果たせたらいいですね。

オリジナル曲も名曲揃いですが、カヴァー曲もまた魅力的です。最近、歌ってみて手応えを感じたカヴァー曲ってありますか?

僕は美空ひばりさんに憧れて歌手を目指したので、大好きな曲もいっぱいありますが、今年の北海道ツアーで『愛燦燦』を従来の語りかけるような歌い方じゃなく、大胆にもロックテイストにアレンジしてシャウトするように歌ったら凄く気持ち良かった。お客さんもそれを好意的にキャッチしてくれたので、また機会があれば披露したいと思っています。

9月20日には今年シングル第2弾となる新曲『海峡浪漫』もリリースされたばかりです。

基本的に1年に1枚のペースなので、2曲出すのはデビュー10周年と東日本大震災の復興を祈念した2011年以来になるのですが、今回は40歳のスペシャル。しかもこの『海峡浪漫』は一昨年リリースした『古傷』(大志盤)のカップリング曲として好評いただいた『千島海道』という曲を、新たな歌詞で生まれ変わらせたもの。間宮海峡を発見した江戸時代後期の探検家・間宮林蔵を主人公に、道を切り拓く男の浪漫を歌った、節目の年に歌うにふさわしい王道演歌になっていますので、どうか『こころ万華鏡』共々、よろしくお願いします!

ところで、美味しいものがいっぱいの大阪で、山内さんとっておきの大阪グルメは?

てっちりです。てっちり最高!今回も昼間からいっぱい食べようと思っています。では、皆さんにまた会えるのを心待ちにしております。“待っててなぁ”

◎Interview&Text/東端哲也
◎Photo/安田慎一



10/23 MONDAY
「山内惠介 コンサートツアー2023 ~歌うこころは万華鏡~」
■会場/フェスティバルホール
■開演/15:00
■料金(税込)/全席指定 ¥7,800
■お問合せ/ページ・ワン TEL.06-6362-8122(火・木11:00~16:00)



永遠の名作「ロミオとジュリエット」で、憧れのシェイクスピアに初挑戦!!


「高杉真宙」スペシャルインタビュー
取材日:2023.07.25


映画、テレビドラマ、時にはバラエティ番組でも活躍する高杉真宙は
舞台にもコンスタントに取り組み、幅広くキャリアを重ねてきた。
そんな若手実力者がシェイクスピアの世界に初挑戦。
「ロミオとジュリエット」の主人公ロミオを演じる!
ジュリエットには藤野涼子、演出は蜷川幸雄の演出助手・演出補を務めた井上尊晶。
シェイクスピア劇の中でも屈指の上演回数を誇る悲恋の物語は
誰もが逃れられない愛と死を描いているゆえに、永遠の輝きを放つ――


ロミオを演じる心境をお聞かせください。

プレッシャーでしかないです(苦笑)。これまでも舞台をいくつかやらせていただき、もちろんシェイクスピア作品もいつかやりたいと憧れていました。中でも「ロミオとジュリエット」は登場人物がほぼ10代で、年齢的にギリギリですから、27歳の今、演じることができるのは、うれしいです。僕の主観でしかないですけど、ロミオはすごくアホな子。あまり賢くないなと思うんです。でもロミオと同年代の頃の僕だったら、そんなに変わらないと思うんじゃないかと。ロミオに関しては恋愛でしたが、何か一つのことに対して熱中する真っすぐなアホさが出せたらいいのかなと考えています。それは純粋さ、ピュアさに近いものですよね。

ジュリエット役の藤野涼子さんの印象は?

すごく和やかな方ですね。まだ稽古の前なので、3回しかお会いしてませんが、話しやすくて落ち着いていて、安心させてくださる方。あと、読み合わせをしてみて感じたんですけど、今回のお芝居は詞的な表現が多いのでリズムが重要だと思うんですよ。藤野さんは、藤野さん自身のリズムで話しながら作品の台詞のリズムも壊さず調和している。両方が手を取り合って進んでいく姿がとても気持ち良くて「いいなあ、うらやましいなあ」と思いながら彼女を見ています。


稽古開始に当たって、井上尊晶さんから演出プランのお話はありましたか。

まず最初に「まだ何も決めてない」と言っていらして。でも、それを聞いて逆に安心しました。尊晶さんは、演出家の考えはあるけれど俳優の考えも尊重してくれる方なんだと思います。だから、わからないところから一回やってみようと。一回やってみようのほうが若干怖いところもありますが、稽古では、あまりにも感覚がズレていたら話し合いはします。僕はこう思って、こう考えてきたという主張はしますね。そうじゃないと、すり合わせができない。どんなに台本を読みこんでも、人生の歩み方によって受け取るものは違ってくるので、ズレるのは当然。その上で感覚のズレをどれくらいすり合わせるのかが大事だと思うんです。俳優はそこを合わせないといけない。現場とのチューニング、監督や演出家とのチューニングは絶対に必要。僕はそういうやり方が好きなタイプですね。

井上さんは、執筆の背景にペストのまん延があったため、コロナ禍を経験した現代と少し重ねて見ていらっしゃるようですが…。

尊晶さんからは、ペストが流行った時代と現代には通じる部分が多いと思うとは聞いています。「ロミオとジュリエット」の劇中では、疫病の影響で手紙が届かないという事態が起こって不幸を招きます。ただ、こんな便利な社会でも伝わらないことって多いですよね。広い世界の中の閉鎖的な空間は、現代にも存在する。台本を読んでいると、世界がどんなに大きくてもロミオとジュリエットには息苦しかったんだろうなと感じます。それはインターネットの向こうにどれほど広がりがあっても、みんな息苦しそうに見えるのと同じような気がするんです。


舞台の仕事はどんな位置づけにありますか。

僕にとってはリセットの場所ですね。自分の今いる場所を客観視できるというのか。映像のようにアップや引き画はなく、また、しゃべっていてもいなくても舞台上にいることがありますよね。そういう状態も含め、登場から退場まですべて演技でいっぱいにするという作業をあらためて感じます。自分の技術的な立ち位置を感じる場所だなと。怖い場所ではあります。一つ千穐楽を迎える度に「舞台はもういい」と思うんですけど、数カ月経つとまた舞台に立ちたいと思う。大変ではあるけど、僕にとっては今のところ楽しい場所でもあるので、機会があれば継続的にやりたいです。

記憶に残る舞台作品はありますか。

最初に舞台を観たのは小学生の頃、家族で出掛けた劇団四季の公演。地元の福岡で「人間になりたがった猫」という作品を観ました。パンフレットも実家に残ってます。ただ、その頃は俳優に対して職業という意識はなかったです。それからも舞台は観ていて、気づいたら好きだと自覚していた感じですね。この世界に入って観る機会も増え、やる機会も増えてどんどんハマっていきました。舞台を観る時いちばん好きなのは、場内が暗くなる瞬間。現実からバンッと切り離され、一気に引き込まれます。あれがいいんですよね。僕は、照明が落ち始めたら目を閉じるんですよ。現実と完全に乖離されに行ってます。

東海地方の観客にメッセージをお願いします。

観たり読んだりしたことはなくても、「ロミオとジュリエット」というタイトルはきっと誰もが知っていますよね。今回この作品をやったことのない僕がロミオを、やったことのない藤野さんがジュリエットを演じ、スタッフを含め新たな顔ぶれの「ロミオとジュリエット」が生まれます。だから台本は同じでも、過去の上演とは異なる舞台になると思うんです。読み手が違えば演技も違ってきて、作品も違うものとなっていく。これだけ長く愛されているのは、キャストやスタッフが変わる度さらに面白く魅力的に映るからだと思うので、僕たちの「ロミオとジュリエット」を観に来ていただけたらうれしいです。

◎Interview&Text/小島祐未子
◎Photo/安田慎一
◎Makeup&Hairstyling/堤紗也香
◎Stylist/菊池陽之介



10/14SATURDAY・15SUNDAY
「ロミオとジュリエット」
■会場/東海市芸術劇場大ホール
■開演/10月14日(土)12:00、17:00 10月15日(日)12:00
■料金(税込)/全席指定 ¥11,000 学生席(当日引換券)¥5,500
■お問合せ/中京テレビクリエイション TEL.052-588-4477
※未就学児入場不可



80年代から始めた「一人芝居」から選りすぐりの作品を上演!


「イッセー尾形」スペシャルインタビュー
取材日:2023.06.19 


舞台にテレビ、時にはアーティストとして
幅広いフィールドで活躍するイッセー尾形。
なかでも1980年代に始めた「一人芝居」は、独特の世界観で人々を魅了し、
「一人芝居の第一人者」として根強いファンを獲得している。
今年はフリーになって10年目。
その間に演じてきた「一人芝居」から選りすぐりの作品を上演する
「イッセー尾形一人芝居in 神戸」が開催される。
フリーとなって初めての神戸公演にかける思いを聞いた。


神戸では久しぶりの公演となるそうですが、関西の観客の印象は。

関西は、いいものは何だということを知っている気がしますね。反応がいいんですよ。やらせ上手だし、乗せ上手。パフォーマーにとってはすごくやりがいがあります。僕は、次のセリフはどんな口調、音で表現しようかとお客さんとの緊張感の中で決めていくことがある。それが試せるんですよね、関西は。

そして次は、神戸で新しいことをやっていくと。

フリーになって10年、そこでいろいろな作品がたまっているので、その中からダイジェスト版か、春に大阪で発表した新作から選択するか、現在構想中です。「詐欺防止留守番電話(Y‘s電気)」は鉄板ネタなので、最初の演目にはよいかも。


—迷惑電話防止システムの設定確認に来た人が、訪問先であれこれハプニングに出会うお話ですね。正しさと罪は表裏一体で自分も…というシニカルな面白さに溢れています。作品やキャラクターを作る時、大事にしていることはなんですか?

こんな人いるなとか、この人が自分に迫ってきたらどうしようと思う、そんな人物を作ることですね。一人芝居をやり始めたころの作品「バーテン」は、世の中を知らない男が自分の小さな城の中で若いやつらにえらそうにして、井の中の蛙ぶりを追ったネタです。あれが一人芝居の基本でした。それからいろんなネタを作ってきましたね。言いわけをして逃げ回る人とかね。言いわけって、ぎりぎりまで追い込まれた瞬間、その場しのぎに出るわけで、可能性は無限大にあると思うんです。誰しも持っている「言いわけの無限性」ですよね。僕は、そこにたどり着きたいんですよね。

最近ではロリータ少女、中華料理店のおばちゃん、ストーカーではないと言い張る優等生、税金支払いの窓口でごねる人など個性的なキャラクターがますます増えました。

舞台に登場した直後にこの人はどんな人物なのか、がわかるようにしてます。「ロリータ少女」のネタは、実際に僕が文具屋さんの前でロリータファッションの女の子を見かけたところから着想を得ています。乱雑な都会の中にポツンと少女がいるけれど、彼女はかわいい文具が好きな普通の少女で、もしかしたらロリータファッションは彼女の防御服なのではないか。そんな繊細な少女がお母さんと出会いたいのになかなか出会えない…という設定がおもしろいのではないかと。そうやって作った作品です。

10年の間には、コロナ禍がありました。時代の空気に何か変化を感じますか?

以前はもっと感覚的にやってきたことへの、言語化が進んだような気がします。時代はいろいろなことを強要してくるので、要請には従順だったと思うんですが、今はそれゆえにはじき出されてしまう人もいる。ギリシャ神話で言うところの悲劇ですよ。従順なのに理不尽というか。そこに興味を持ってます。好き嫌いではなく、構造の話。責任を取る人は弾かれてしまうし、責任はどこに?と問われると、取らざるをえない人もいて。


まさにコロナ禍の2年前にシェークスピアを題材にした『シェークスピア・カバーズ』を出版されましたが、庶民が主役の物語が多かった。やはり庶民に惹かれるものが?

そうですね。自分が庶民だと思っているからね。それに庶民には可能性がある。大爆発するかもしれないし、休火山になるかもしれない。王様はずっと王様なのだけど、庶民は精神が自由なの。だからオールラウンドプレイヤーなんですよ。底から上を見あげる視点は人の数だけあるんです。精神は自由だからこそ、何にでもなれる。だからこそ、ネタもどんどん変わっているし、それは、僕自身も変わっているということです。1つの方向には逆方向が絶対にある。普遍的なものには、今の時代だからこそ存在する逆方向の視点がある、それを両方兼ね備えたものを作っていきたいですね。

どんどん変化を遂げて、神戸の舞台を迎えるということですね。会場では、イッセーさんが作られた紙粘土の作品展もあるとのこと。来場されるみなさんへひとこと!

以前、神戸で予定していた公演が、震災で中止になって。当時僕はすでに、大阪から船で三ノ宮に入っていたんです。その時、崩れた家屋をいくつもみました。本当に凄まじい体験をして、立ち直った都市ですよ。神戸のみなさんは言葉では言い尽くせないことがいっぱいあったと思うんですね。だから、その気持ち、出せなかった言葉に見合うネタになれたらいいと思います。それに値するネタでありたいです。気持ちと言葉の間に、橋が架かるといいなと思っています。

◎Interview&Text/田村のりこ
◎Photo/内池秀人



11/25 SATURDAY・26 SUNDAY
「イッセー尾形 一人芝居 in 神戸」

■会場/神戸朝日ホール
■開演/各日14:00
■料金(税込)/全席指定¥5,600
■お問合せ/神戸朝日ホール TEL.078-333-6540(10:00~17:00 土日祝除く)
[東京公演]◎12/1(金)〜12/3(日)有楽町朝日ホールにて開催



「ピエタ」新作舞台化!プロデューサー、俳優として挑む女性たちの共鳴の物語


「小泉今日子」スペシャルインタビュー
取材日:2023.04.28


小泉今日子がプロデュース業のために立ち上げた
「明後日」が企画・製作する新作舞台 が届く。
大島真寿美の小説を原作とした『ピエタ』である。
18世紀のヴェネツィアを舞台にした、
作曲家ヴィヴァルディを取り巻く女性たちの人生を描いたその物語に魅了され、
ずっと舞台化を望んできた小泉。
プロデューサーとして俳優として、念願にどう臨むのか。
その思いには小泉自身の生き方も見えてくる。


2011年に大島真寿美さんの小説「ピエタ」の書評を書かれたときから、いつか舞台にしたいと思っておられたそうですね。

読売新聞の書評を担当していたのが30代後半から40代でした。書評集になったものを読み返してみると、この頃の私はいろいろ迷っていたんだなと思うんですが、生きることとか過去の後悔とか、知らないうちに自分の話を書評の中に書いていたりして。そんなときに読んだ「ピエタ」の物語は、とてもやさしい光に見えたんです。主人公のエミーリアが、いろいろな立場の女性と出会うことで自分のなかに封じ込めていたものと向き合うことで、それぞれの人生が共鳴していく。その姿を見て、私も私自身の経験や記憶があるから私なんだと証明された気がしたというか。それで、私と同じように救われる人がいるのではないか、本が苦手な人にも伝えたい、そう思って舞台化を考えたんです。映像でイタリア人を演じるのは難しいですけど、舞台なら何にでもなれますから。

原作との出会いから10年以上が経って、ようやく舞台化が実現します。

企画自体は立ち上げては上手くいかないことが起こるという繰り返しで、2020年に決まっていた上演もコロナ禍で中止になって朗読劇に形を変えたので、本当にようやくです。でも、最初にやりたいと思ったときの40代の私より、60歳に近い今の私のほうが、登場する女性たちの気持ちや、大島真寿美さんが書きたかったことが理解できる気がするので、今がいいタイミングだったんだなと思います。


原作は、「四季」で知られる作曲家ヴィヴァルディが、ピエタ慈善院で孤児たちにヴァイオリンを教えていたという史実をもとに創作されたもので、エミーリアがある楽譜探しを頼まれたところから女性たちとの出会いが始まります。お芝居として立ち上げるにあたっては、何を大切にしようとされましたか。

そこは、脚本・演出をお願いしたペヤンヌマキさんとたくさん話しました。私が演じる孤児のエミーリア、貴族のヴェロニカ(石田ひかり)、高級娼婦のクラウディア(峯村リエ)、物語の中心にいる3人の関係性を色濃く描きながら、ほかの女性たちももっと動かしてドラマにしていきたいよねと。例えば、プリマドンナのジロー嬢(橋本朗子)と、孤児院にいて薬屋に嫁いだジーナ(高野ゆらこ)が互いを羨ましがったり。ジロー嬢を支えるお姉さんのパオリーナ(広岡由里子)とヴィヴァルディの妹のザネータ(伊勢志摩)がヴィヴァルディの思い出話をすることで癒やされたり。今も共感できるところを豊かに作っていって、登場人物の誰かに思いを寄せてもらえたらなと思うんです。あと、クラウディアがヴェネツィアの貴族と政治を嘆くセリフは、2023年の私とペヤンヌさんは「まさに今だ」と感じるので、そこも2020年に作っていた脚本からは変化しています。

ペヤンヌマキさんは、演劇ユニット ブス会*を立ち上げて、現代女性のリアルを描いておられますが、ご一緒されるきっかけは?

何度か共演している安藤玉恵さんとペヤンヌさんがもともと同じ劇団(ポツドール)出身で、玉恵さんを通じて『エーデルワイス』というブス会*の公演を観に行ったんです。それも過去の自分と向き合うという女性の話で、俗世間っぽいものをまぶしてあるけれどもそれを剥がしたら、「ピエタ」と同じような、立場は違っても心に持つ誇りを感じられたら連帯できるというシスターフッドの話をしているのかもしれないと感じました。ペヤンヌさんのなかにも、そういうフェミニズム的な思いや社会に対する思いがあることは後々知ったんですけど。これを美しいところだけを切り取ったものではなく力強い物語にしたかったので、お声がけしたんです。といっても、音楽監督に向島ゆり子さんに入っていただいて美しい音楽もありますし。美術は抽象的ですが、だからこそ想像が広がるステージングも考えていますので。そのなかで繰り広げられる女性たちの思いを感じていただければなと思っています。

エミーリアを演じる俳優としての意気込みもお願いします。

私はとくに映像では、気の強い役をいただくことが多いので、意外とこういう受け身のお芝居もできるんですよというところを私自身も楽しみにしていますし。周りの皆さんの声や芝居に導かれて心を動かすことを、毎日新鮮にできたらいいなと思っています。

プロデューサーとしての意気込みは?

舞台を観てくださった方の新しい扉を開くことが出来たらいいなと思っています。文化、芸術、エンターテイメントの世界に出来ることはそういうことだと最近とくに思うんです。だから、プロデューサーとしてはちゃんと意志を持って、あきらめず、社会に対しても小石を投げ続けていきたい。まず動いてみるタイプなので、最初は何もわからないなかでやってきて失敗もありました。でも、自分らしいプロデュースが見えてきた感覚もあるので、ここからです。『ピエタ』を成功させてまた次にいけたらなと思います。

◎Interview&Text/大内弓子
◎Photo/安田慎一
◎Makeup&Hairstyling/石田あゆみ
◎Stylist/宇都宮いく子(メイドレーンレビュー)



8/9 WEDNESDAY・10 THURSDAY
asatte produce「ピエタ」
■会場/穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール
■開演/8月9日(水)18:30 8月10日(木)13:00
■料金(税込)/全席指定 ¥8,500 車いす席¥8,500 U-25¥4,000
■お問合せ/メ~テレ事業 TEL.052-331-9966(平日10:00~18:00)
※未就学児入場不可