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岡崎市出身で、出身地に多くの楽曲を提供している作曲家でピアニストの山中惇史と、本格派女性サクソフォン奏者の住谷美帆がデュオ・リサイタルを岡崎市で行う。山中は、東京藝術大学作曲科を経て同大大学院修士課程作曲専攻を修了。作曲家としてだけでなくピアニストとしても活躍している。現在は江口 玲氏に師事して東京藝大器楽科ピアノ専攻に入学し直し、ピアニストとして更なる研鑽を積んでいる。

大学院を出られて、既に作曲家としてもピアニストとしても活動していますが、学部のピアノ科に入り直されたのはどうしてですか?

作曲家を目指してそのためのピアノは勉強してきましたが、ピアニストになるための本格的な勉強はしていませんでした。自分がピアニストとして活動するということは全く考えていなかったのですが、そんな時に思わぬ形でピアノを弾く機会が増え、こんな状態で舞台に立っていいのだろうか、という疑問が湧いてきました。それで現在師事している江口玲先生に手紙でご相談しましたら、ソロをやりなさいと言ってくださいましたので、きちんと勉強し直そうと思い、ピアノ科に入りました。

ご自身のピアノ曲を演奏するということはこれまでにあったのですか?

子どものためのピアノ曲は何曲か書きましたが、これまではきちんとしたピアノの曲を書く機会がありませんでしたし、ピアノ曲にあまり興味もありませんでした。これまでは共演する方のために、ピアノと共演の楽器のための編曲や作曲が圧倒的に多かったです。11月に東京でリサイタルをしますが、そこで初めて自分の曲を演奏します。まだ作曲の途中ですが。

今回のコンサートではサクソフォンの住谷美帆さんとの共演ですが、プログラムはすべてサックスとピアノとのデュオですか?

まだ曲名を発表していませんが、僕のソロの曲もあります。棚田文則の「ミステリアス・モーニングⅢ」はサックスのソロの曲です。他はサックスとピアノとのデュオです。ベダールの「幻想曲」とJ.S.バッハ「G線上のアリア」、それに棚田作品はソプラノ・サックスで演奏するようです。ベダールはまだ存命中のカナダの作曲家です。ビゼーの「カルメン・ファンタジー for サクソフォン」は、アルト・サックスとピアノ用に僕が編曲しました。2つの楽器にいろいろな現象が起きるように、例えば反発したりとか一緒になったりとか、いろいろなあり方を見せられたらと思って書きました。勿論サクソフォンが映えるようにということは考えてあって、「演奏会用ファンタジー」のような感じになっています。
ピアノとサクソフォンは発音形態も違い、サックスの音量が圧倒的に大きいので、混じり合うというよりぶつかり合うような感じになることが多く、楽器としての相性はあまりよくないかも知れません。でも自分が演奏する時に、そこを一つのユニットとしていかに成立させられるかを考えるのは楽しい作業です。ピアニストとして音色を作るという点で非常に技術を求められますが、聴衆が気付かないようなことを裏で操作するというのが楽しいですね。結果的にそれが一つの音楽となって、「サクソフォンが素晴らしい」と思ってくださったら成功で、陰でガッツポーズをしちゃいます(笑)。

◎Interview & Text/横谷貴一


11/17 SUNDAY
クローズアップおかざき
「山中惇史&住谷美帆 デュオ・リサイタル」

【チケット発売中】
◼️会場/岡崎市シビックセンター
◼️開演/15:00
◼️料金(税込)/全席指定 ¥2,500
◼️お問合せ/岡崎市シビックセンター TEL.0564-72-5111
※未就学児入場不可