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角田鋼亮が率いるセントラル愛知交響楽団が可児市文化創造センターalaに登場。林美智子(メゾ・ソプラノ)ら3人の実力派歌手を迎えて人気オペラ《カルメン》をハイライト上演。後半はそれぞれ選んだ名アリアを披露する。


11月にアーラでもハイライト版が上演される《カルメン》は全オペラ作品の中でも断トツの知名度と人気を誇るヒット作ですが、音楽的な魅力は?

【角田】舞台であるスペインは民族色豊かな踊りや親しみやすいメロディの宝庫。ビゼーの音楽の土台になっています。また、オーケストレーションが素晴らしい。自分の師匠である佐藤功太郎先生も晩年は病院のベッドでよくカルメンのスコアを眺めていらっしゃいました。大作曲家のR.シュトラウスも若い作曲家志望の若者に「ビゼーのスコアを勉強しなさい」とアドバイスしていたと証言しています。私も、ビゼーは簡潔で力強く効果的にそして華やかにオーケストラを鳴らせる天才だと思います。もちろんキャッチーなアリアや二重唱など歌も魅力的ですが。

カルメンは難しい役ですか?

【林】もちろん! エキゾチックなロマの女なので、歌うだけでなく舞踊系のテクニックやセンスも必要です。有名なアリア「恋は野の鳥」も独特のリズムを持った舞曲(ハバネラ)なので運動神経も求められます。

今回のハイライト版の構成は角田さんが手がけられるそうですね。

【角田】“おいしい名場面”や聴き所を網羅しつつ、ストーリーや場面転換はナレーションでわかりやすく説明しようと思います。ホセの許嫁のミカエラの登場しないシーンは、オーケストラの演奏で彼女の気持ちを代弁します。


後半はテノールの中井亮一さん、バリトンの近野賢一さんも交えたアリア・コンサート。林さんはドヴォルザークの歌劇《ルサルカ》から第1幕の有名なアリア「月に寄せる歌」を歌われます。

【林】私のリクエストをマエストロがOKしてくださり、感謝です。ドヴォルザークは学生時代から歌曲集《ジプシーの歌》が好きでした。それから二期会で2008年に同じチェコの作曲家であるヤナーチェクの歌劇《マクロプロス家の事(マクロプロス事件)》を上演したときに娘役を演じて以来、ずっとチェコ語で歌うことに惹かれています。ルサルカは本来、落ちついた表情豊かで抒情的な声を持つソプラノ・リリコの役柄ですが、年齢を重ねてメゾ・ソプラノから声の幅がゆっくりと広がってきた今の自分に合っていると思うのです。自分のレパートリーを開拓する意味でも、「月に寄せる歌」は穏やかで、どこか切なさが余韻として残る名曲なので、この機会にぜひ挑戦したいと思いました。

【角田】気高いカルメンとはまた違う、聴き手を温かく包みこむような林さんの歌唱が楽しみです。また、これまで何度か共演した事のある中井さんや近野さんとアーラで再会できるのが嬉しいです。前半でお二人が演じる《カルメン》のホセや闘牛士エスカミーリョにも胸が高鳴ります。可児市の皆さんもどうかご期待ください!

◎Interview&Text/東端哲也



11/16SATURDAY【チケット発売中】
オペラハイライト「カルメン」
ナレーション付き

◎指揮/角田鋼亮 ◎メゾソプラノ/林美智子 ◎テノール/中井亮一 ◎バリトン/近藤賢一
◎管弦楽/セントラル愛知交響楽団
◼️会場/可児市文化創造センターala 主劇場
◼️開演/14:30
◼️料金(税込)/全席指定 ¥6,000 25才以下¥3,000
◼️お問合せ/可児市文化創造センター ala TEL.0574-60-3050