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「南こうせつ」web限定インタビュー取材日:2013.12.23
デビューから45年。
国民的ヒット作ともいえる楽曲の数々を世に送り出してきた一方で、
音楽フェスの先駆けとも言えるイベントを精力的に主宰してきた
シンガー・ソングライター、南こうせつ。
全国ツアー大垣公演を前に、ライヴについて、
そして長いキャリアを経て辿り着いた
「フォーエバー・ミュージック」について語ってくれました。
こうせつさんは、伝説ともなっている1975年のつま恋でのコンサートなど、音楽フェスを先駆けて作っていらっしゃいました。今も、多くのミュージシャンとのコラボでコンサートを勢力的に行っていますね。
「青春のグラフィティコンサート」とかね。これは’00年に始まって、以前は名古屋の久屋大通公園を会場にしてたんですよ。街の真ん中の公園にフォークシンガーが入ってきて歌って…。’05年の愛・地球博の会場でもやりましたしね。今年は1月にホールコンサートを行いました。今回のメンバーも凄かったですよ。因幡晃さん、イルカさん、海援隊、杉田二郎さん、そして南こうせつ。まさに青春のグラフィティ。フォークジャンボリーにふさわしい顔ぶれですよね。例えば僕の場合、「神田川」のヒットから40年経つんですね。それだけの月日が流れても、あの頃少年少女だった皆さんが駆けつけてくれるんですよ。やっぱり青春時代の思い出の歌というのは一生愛し続けられるものなんですね。僕自身もそうですけど。
同世代のファンの方々にとって、こうせつさんの存在はとても心強いものなのではないでしょうか?
我々世代は、それこそもう年金世代(笑)。それでもやっぱり大事なことは、少年時代にイメージした、あの頃に戻ることだと思うんです。つまり、自由にものを考えるということ。もう一度、あの夢溢れる少年時代に戻って、思いっきり残りの人生を生きる。夢を走っていくって素晴らしいことです。定年退職して自由になって、もう一回夢を歌おうじゃないか。そんなエールが送れたらと思いますね。もちろん健康が一番ですから、適度に健康診断を受けながら(笑)。何も心配することはない。みんなと一緒に盛り上がって生きていきたいと思いますね。
今まさに、そんなエールを込めたコンサートツアー「うちのお父さんツアー」の真っ最中。3月には大垣にもいらっしゃいます。
「うちのお父さん」は、かぐや姫の頃に作った歌のタイトルなんです。当時は僕が20代でうちの父が64歳。つまり今、僕が歌っている年と同じ年齢なんですよ。ということは、うちのお父さんのことを歌っていたのが、いつの間にか自分がそういう年代になった。亡くなった父を称えながらも自分自身の応援歌になってしまったんですね。つまり、フォーク世代の皆さんに対しても応援歌である訳です。そんな同志たちへの応援歌を届けたいなと思い立って、こんなタイトルをつけました。
これまでのコンサートと違うこだわりなどを教えてください。
編成をアコースティックにしました。なぜかというと、やっぱり身近に感じるから。アコースティックサウンドというのは凄くオーガニックな感じがするんですね。テクノロジーの音ではなくオーガニックな音にして、もっと人間っぽいものにしてみようと。とかく今はみんな携帯でメールとかSNSとか文字でやりとりをするでしょ?非常にコミュニケーションが合理化している。もちろんそれはいい面もありますよ。でも、我々世代はどうしてもその人のパーソナリティの温もりとか息づかいとか、そんなことを感じながら生きていった方が心地いいし安心出来るんですね。サウンドも同じで、僕らがアコースティックなオーガニックな肉声をきちんと届けると、皆さんも安心してそれを受け取ることができる。コミュニケーションが横にきちんと繋がっていくんです。曲構成もそんな風にしています。
昨年11月からスタートして全国何ヵ所も回られていますが、手応えは?
凄いですね。どこも満員で。同世代のファンの方々…白髪だったり薄くなってる方も多いんですけど(笑)、たくさん来てくださって昔を懐かしんだり。それから凄く大げさな言い方をすると、生きるヒントを得てくださるというか…みんなが「これでいいんだ。自分自身でいいんだ」と実感しているような、そんな拍手をいただけますね。
同世代のファンにエールを送りながら40年以上キャリアを重ねてこられて、歌作りや歌うことへのスタンスに変化はありましたか?
変わりますよね。若いときはただ上を目指してたけど(笑)。人よりも絶対いいアルバムを作ってやろうとか、観客を集めてやろうとか、そういうことばっかりに神経がいってた。でも今は、自分が幸せになりたいから自分が心地よく歌ってお客さんに届けられるように、自分自身のハートに嘘をつきたくないという感じで展開しています。あんまり焦って曲作りをしなくなったかな?昔は本当に1年に1枚アルバムを作って…という感じで、何か焦って音楽づくりをしていた気がします。でも、作品を作るためにはほかのいろいろな作品を聴いたりコンサートを見たりして、自分の次の道を探さなきゃいけない。時間がかかるんですよね。いつか本物になろうと思いながら、まだなりきれていない。そういうことを背負って続けているような気がしますね。右に行ったり左に行ったり、上に行ったり下に行ったりしながら続けています。僕、もの凄い数のアルバムとかCDを若いときから持っていたんです。でも、例えば100枚LPがあったりすると、今は10枚でいいかなって。面白いですね。ビートルズも全部揃えておかないといけなかったんだけど、今はまぁ、最初のと「ラバー・ソウル」「リボルバー」「サージェント・ペパーズ・ロンリーズ・クラブ・バンド」「レット・イット・ビー」があればいい。アーティストも同じように、エルトン・ジョンとニール・ヤングを押さえて、あとはビリー・ジョエル…本当に10枚ぐらいあればいい感じになってきたんですよ。自分が死ぬときに1枚か2枚、影響を受けたものを持っていればいいかなって、そういう気持ちになってきました。それは自分の音作りでもそうですね。昔は見栄を張って美しいフュージョンを「これ好きなんだ」とか友達の前で言ってたけど、今は面倒くさくて「民謡が一番」という感じになってきていますね。
ご自身の中で残しておこうと思うミュージシャン、音楽に共通するのはどういうものですか?
泣ける音楽がいいですね。ハートにククッとくるアーティスト。昔は、時代を作ってきたロックミュージシャンなんかのインタビューとか本なんかも「この人は凄く難しいことを考えているんだ」と思って読んでいました。でも今は、そういうことはどうでもよくて、「ああ、この歌はグッとくるな」とか、基準はそれだけかな。それがロックのプログレ派であろうがパンクであろうが関係なく。ボブ・ディランの「フォーエバー・ヤング」はやっぱりいいなとか。そんな感じかな。選び方が本当にシンプルになってきましたね。だから自分自身でもグッとくる歌をお客さんにライヴで届けていこうと思います。無理してカッコよく見せようとして作ったアルバムの歌は、自分でも「ちょっと若かったな」っていう感じがするし(笑)。
3/29 SATURDAY
南こうせつ コンサートツアー2014
〜うちのお父さん〜in 大垣
チケット発売中
■会場/大垣市民会館
■開演/16:30
■料金/全席指定¥5,000
■お問合せ/大垣市文化事業団 TEL.0584-82-2310
※未就学児入場不可