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「増田有華」web限定インタビュー取材日:2012.10.04
この秋、宮本亜門が手がけるミュージカル
「THE WIZ 〜オズの魔法使い」が注目を集めています。
全国のAKBプロジェクトメンバーから主人公ドロシー役に抜擢された増田有華が、
名古屋での大千秋楽に向けて、ミュージカル初主演の意気込みを語ってくれました。
横浜公演を終えられての感想をお聞かせください。
オーディションの最終審査に受かってからは、毎日、緊張とプレッシャーの日々でした。でも、稽古が始まってからはホントにみんな仲良くなったし、毎日刺激的なことばかりで。横浜の千秋楽を終えたときには客席のみんながスタンディングオベーションで拍手をくださって、一番後ろの席の人もみんな笑顔で総立ちになって…そういう光景を見たときに、こういう仕事ができてよかったなって、また改めて感じました。本当に愛に満ち溢れた作品に出会えたなと思っています。
演出の宮本亜門さんからは何か言葉がありましたか?
亜門さんは、稽古期間の最後の方に「僕が見てきた増田有華はこんなもんじゃない、もっとできる!」って言ってくださったんです。「もっと自分の殻を剥ぎ取って、自分を信じろ」って。恥ずかしい思いとかももちろんあったりして、自分を思い切り出せなかったりもしたんですけど、ここではもう出し切るしかないなと思って、ホントに恥を捨ててやろうっていう気持ちで初日を迎えました。そしたら亜門さんが「本当に短期間でよくここまで頑張って、増田有華としては160%以上出てるよ。でも、僕が見たい増田有華はもっと上に行けるし、それだけ期待している。自分を信じて頑張りなさい」って言ってくれて…。自分よりも私のことを信じてくれる人が身近にいるんだなっていうのを感じて、恥ずかしい思いもありつつ、もっと頑張らなきゃなと思いました。
横浜、大阪、東京を経て大千秋楽の名古屋公演では、さらに成長した増田さんが見られそうですね。
やればやるほど手ごたえがあるというか、自分の中にこんなに伸びしろがあったんだって気づかされました。今、できる限り私の中の沸点を高めて、毎日凄い勢いで成長していきたいなと思っているので、吸収できることは日々、吸収していきたいですね。亜門さんも「きっと大千秋楽では、あなたもびっくりするぐらい成長していると思うよ」とおっしゃってくださってるんですよ。
今回、全国のAKBグループメンバー186名の中から増田さんがドロシー役に選ばれました。その決め手について、亜門さんは何とおっしゃっていましたか?
亜門さんは「歌がよかったね」とおっしゃってくださいました。今回、このミュージカルで亜門さんが求めていらっしゃったのが、恥を捨てて自分をさらけ出すということだったみたいなんです。私自身も凄く自分を変えたい時期でもあって、恥を掻いても自分をさらけ出していきたいっていう思いでオーディションに臨んだので、そういう部分で亜門さんが求めていらっしゃる部分にピタッとはまったのかなと。
自分を変えたいと思われたのは、どんな理由からですか?
私はもともと凄く自信があるように見られるんですけど、全然そんなことないんです。やっぱりこういう世界にいると、自分が何か発言したりすると何かしらの反応が返ってくるじゃないですか。それに対してもっと改善していかなくちゃいけないなって思うことが日々あったりして、コンプレックスだらけだったんです。AKBの中で「歌といえば増田有華」って言って頂いて、そうやって求められた分、その倍ぐらい返さなきゃ満足していただけなかったりして。伝えたい歌っていうのを見失って、上手く聴かせるために音符をたどって歌っているようになっていた時も正直ありました。これだけ人数がいるし、総選挙とかもあったりして、自信を失うこともあって。自分へのプライドもあって。そこで今回のオーディションのチャンスをいただきました。いつも私は、自分に余裕があるように見せたかったり、力を出しきれなかったんですけど、今回の舞台は振り切って自分を全部出そうと思ったんです。自分を変えたかったんですよね。
だから、今回のオーディションを通して改めて増田有華を見て「増田有華が戻ってきた」ってファンの方たちが言ってくれたときに、嬉しかったし、目指す先も見えてきたかなと思えました。
最終オーディションのときに、亜門さんが泣いたそうですね。
号泣されてましたね。一人ひとりが本当に一生懸命ぶち当たって自分をさらけ出している姿を見て、「よくここまでやってきたな」という愛情で泣いてしまったって亜門さんもおっしゃってました。
「THE WIZ 〜オズの魔法使い〜」は、主人公ドロシーが勇気を持って自分の道を切り開くというストーリーですが、ドロシーと増田さんとの共通点はありますか?
ドロシーは凄くコンプレックスのある子なので、自分に似ていますね。ドロシーの、自分に自信がなかったり、不安がいっぱいあったり、自分は頭が悪いと思っている気持ちの表れが、かかしだったりブリキだったりライオンだったりするんですよね。心がなかったり、脳みそがなかったり、勇気がなかったり…だから、そういうところは自分に似ているなって。明るくて前向きな女の子、一見そんな風に見えるんだけど、心の中では凄く自分にコンプレックスを抱えていて、それをどうすればいいかも分からずにがむしゃらにただ生きる少女。そんな姿が自分にかぶるところもあったりして。私自身、14歳のときに大阪から東京に出てきたんですがドロシーの年齢の設定が14〜15歳で、そこも凄くかぶるんです。自分の道を信じて、ただ一生懸命に進むっていうところがなんか似てるなって。がむしゃらに進んで、壁にぶち当たって、また落ち込んで。でも、その必死なところがドロシーに似てるし、お芝居しながらも「そうそう、こういう必死さが大事なんだよね」って、また初心に戻って励まされたり、根本は凄く似てるなと思いますね。
この作品のミュージカルナンバーの中で、増田さんが好きな曲は?
全部好きなんですけど、なんだろうな…。思い入れが強いのは、一番最後に歌うフィナーレの「HOME」という曲ですね。オーディションの最終審査でも歌わせていただいたんですけど…。
亜門さんを泣かせた曲ですね。
そうですね(笑)。その曲は凄く思い入れが強いし、私が変化した曲でもあります。歌を歌うことの意味を改めて感じさせられ、驚かされたのが「HOME」でしたね。「歌は語るもの」ってよく言われるんですけど、それを自分の中で実感することが上手くできなくて、「語る歌って何だろう」って思ってたんです。でも「ホーム」を歌った最終審査の前、亜門さんに「今、出会えていることは奇跡なんだよ。すべてのことに感謝の気持ちを持って」と言われて。その気持ちを持って歌うと、きっとよく歌えるというアドバイスをみんなの前で受けたんですね。私が今まで出会ってきたものとかすべてのものに感謝の気持ちをもって歌おうと思ったら、普通に話しているような感覚になって、ピタッとはまった感覚が凄くあったんですよ。だから「HOME」は、私の歌に対する思いが新たに変わった曲ですね。凄く思い入れがあります。
共演は陣内孝則さん、森公美子さんなどベテランの実力派をはじめ個性溢れる方々ばかりですね。
ホントにみんな仲が良いんですよ。舞台が終わった後も家に帰ってみんなでチャットして、朝も「おはよう」のチャットで始まって、楽屋で一緒にいるのにチャットしてるくらい(笑)。陣内さんと森さんは、制作発表のときに初めて「増田は凄いんだよ」って言ってくださったんです。公の場所でふたり同時に「ホント、増田は凄い!」って言ってくれたのが凄くうれしくて。その後も「増田だから安心してるよ」って言ってくださったり、ほかのダンサーのアンサンブルの方々も「ドロシーが有華ちゃんだから、私たちも安心してついて行こうと思う」って伝えてきてくれたり…。まだまだ力足らずだし、自分自身やれることがもっとあるなっていう悔しい思いも日々感じてるんですけど、私が今みんなのためにできることはもっともっとやっていきたいな、と思えるようなカンパニーです。私も成長していくんだけど、周りもどんどんどんどん成長していくのが目に見えるから、本当にこの舞台は限界がないなって、日々感じますね。
クリエイティブ・スタッフも、才能溢れる旬の方々が集結しましたね。振り付けは仲宗根梨乃さん、美術監修の増田セバスチャンさんとはお話されましたか?
してます、してます!もう、めっちゃ話します。梨乃さんはずっと英語で「Hey!Hey!」みたいな感じでいつも凄く場を盛り上げてくださいますよ。年齢関係なくみんなが本当にベストフレンドという感覚ですごく仲が良いんです。そういうみんなの団結力がこの作品にはホントに出てるなって思いますね。それから、増田セバスチャンさんの世界観にも感動させられました。初めてセットを見て、このセットじゃ自分が負けちゃうって思いましたよ。セットに食われるってこういうことだなって。映像も凄いし、それに負けてられないっていう…。その場所にただあるだけなんですけど、それだけでも凄くそのものにオーラを感じて、それだけ愛情を注がれて作られたんだろうなって思いました。だから、さらに私もそれを引き立たせるために頑張んなきゃとも思ったし、梨乃さんの振り付けもやっぱり「凄いな」の一言ですね。言葉で簡単に言いたくないんですが、プロフェッショナルってこういうことなんだなって思うぐらい皆さん本当に自分のこだわりを持っていらっしゃって、それを体現されてる方たちばかりなので、負けてられないなって思います。
AKBメンバーの方はどなたか観に来てくれましたか?
めっちゃ観に来てくれました。まだこれから観に行くって言ってくれてる子が20〜30人います。終わった後に楽屋に来てくれたメンバーが「ああ、よかった。有華ちゃん、話してくれた」って言ってたのが一番面白かったですね。なんか遠くに行ったような感覚になったらしくて、「楽屋に行っても話してくれないんじゃないかと思った」って言ってくれて。「憧れる」って言ってくれたのが凄く嬉ししかったし、「有華ちゃんを見て、私も頑張ろうと思いました」って研究生の子たちが言ってくれたり、みんなに夢を与えられたのなら凄く本望だなって感じました。
11/3 SATURDAY・HOLIDAY ~11/3 MONDAY
「THE WIZ~オズの魔法使い~」【名古屋公演】
◎翻訳演出/宮本亜門
◎出演/増田有華(AKB48)、ISSA、良知真次、エハラマサヒロ、森公美子、小柳ゆき、
ジョンテ モーニング、瀬戸カトリーヌ、吉田メタル、丞威、永瀬匡、陣内孝則、ほか
■会場/中日劇場
■開演/11月3日(土・祝)12:00、17:00
11月4日(日)、11月5日(月)12:00
■料金/S ¥12,500、A ¥9,500
■お問合せ/メ~テレ・イベント事業部 TEL.052-331-9966(月~金10:00~18:00)