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「近藤良平」Web 限定インタビュー取材日:2015.01.26
スピード感とユーモア溢れるパフォーマンスを学ラン姿で繰り広げるコンドルズ。
20ヵ国以上で公演を行い海外でも高い評価を受けるダンス・カンパニーです。
名古屋公演を目前に、主宰の近藤良平が心境を語りました。
「GRANDSLAM」が名古屋から始まります。
コンドルズが海外公演を始めたのは’00年頃。以来ほぼ毎年、どこかしらに行っていますが、海外に持っていく作品というのは、わかりやすいコンドルズの形をいつも作っています。「グランドスラム」は’11年から始めた作品ですが、海外公演では現地で流行っているものを入れ込んだりして、作品を今の流れに持っていくようにしています。初めてダンス公演をご覧になる方にも「ダンスってこんなに幅があって面白いんだ」ということを感じていただける作品だと思います。だから、初めての人に特に見てほしいですね。さらに、願わくば「私、あれなら出られそう」「出てみたい」と思っていただけるといいですね。ヒップホップみたいに頭で回るとかそういうことをする訳ではなく、ごく普通の「隣にいるおじさん」みたいな人たちが舞台に上がっているので。図鑑みたいにいろんな人がいるので、誰かに親近感を抱いてもらえると思います。僕も、もともとそういうのが好きなんですよ。サーカスに小人がいたり、もの凄い髭ボーボーの人がいたりするでしょ?そういう世界が好きで。コンドルズも、かなりの異色の人たちが揃った集団だと思います。初めての人は、怖がらずに観に来て欲しいですね。
海外公演ではいつも、どのような手応えを感じていますか?
海外の場合、現地に行ってみないと盛り上がりの度合いがよくわからないんですよ。以前、フィリピンに行ったときは3,000人規模の会場で「まずいな」と思うときもありました。昨年はオランダやドイツに行きましたが、コンテンポラリーダンス、パフォーマンス文化が成熟していてごく普通に受け入れられました。僕たちのジョークが通じるんですよ。南アフリカ公演はこれからですが、全く予想がつかない。都会だと思いますが、気温が35度程あるそうなので、そういうところに学生服で行くというだけで…(笑)。きっと面白いものを持ち帰って日本公演に生かせると思います。何か南アフリカの空気を出せればなと思っていますけど。
コンドルズとしての名古屋での本公演は初めて。今回の公演をきっかけに初めてコンドルズを知るという方もいると思います。トレードマークの学ランの由来は?
学ランは初期のときから着ています。それしか、全員が揃って着るものがなかったんですよ。学生服はみんなが持っていたので。スーツも持ってはいたんですが、着るとカッコ良くなっちゃうんですよね、一世風靡セピアみたいに。僕たちの時代は、短ランとかボンタンとかカッコいい学ランじゃなく「標準学生服」。共学だと男子はダメじゃないですか、バカばっかりで。共学の女子の目から見た男子の感じ…「あのバカなヤツ」っていう。そういう人間の集まりが好きで…大人になれないみたいな。だから脱ぐ訳にいかないんです(笑)。
近藤さんはコンテンポラリーダンスの振付家・ダンサーとしてソロ活動もなさっていますが、コンドルズでの活動との違いはありますか?
コンドルズは今年で結成19年を迎えます。それだけ続けるって凄いですよね。うまく表現できないですけど、こうやってまとめようと思ったわけじゃなくて、メンバーみんなが生活と密着しながらずっとやり続けたというのが凄いなと思っているんです。結婚もあり、出産もあり、離婚もあり…なのにコンドルズはずっと一緒にやっている。ここまで来ると貴重だなと思います。メンバーにとってコンドルズはホームグラウンド。だから、我々がやり続ける、発信するという純度が高い。これからもこのスタイルで続けるだろうと思います。一方で僕は、ずいぶん前から横のつながりで若い人にもワークショップをやっているし、大学でも教えています。コンテンポラリーダンスの敷居を低くして、できるだけいろいろな人に見てもらうとか、参加してもらうとか、そういう機会を作っています。学校でも舞踊が義務教育になりましたし、僕だけじゃなくて遊び心のあるほかのダンスについても伝えなくてはいけない役割があるので、それは両方やっていますね。公演については、ダンスとか演劇、絵画でも何でもそうですけど、ふたりとかひとりとかで作る舞台、大きな会場でのステージ、それぞれ大事ですから両方やらないとダメだなといつも思っています。そうした中で作ることが多くなってくると、芸術監督っぽくなって全部達観してしまうようになる恐れがある。それはつまらない。自分が踊るべきだし、踊って舞台に立った方がいいなと。そうしないと怠けちゃう。それよりは身を張ってやる気はありますね。
コンドルズのパフォーマンスは、普通のコンテンポラリーダンスとは違う敷居の低さが個性だと思います。
そういうところが好きなんですよね。何か人間の滑稽な部分、自分も含めてですけど、そこに興味があるので、どうしても可笑しい方に行っちゃう気がする。人を見ていると、どうしてもそういう滑稽な部分だけを見ちゃうんですよね。今、この低い椅子に座っているという状況も面白くて仕方ない。そういうのを作品の中で表現すると、どうしても可笑しくなっちゃう。あと、この頃、本番が始まる前にシーンとして会場の空気が真面目になる感じが嫌なんですよね。もっと舞台を身近にしたい。より親しんでもらいたいので、ちょっとほっぺが緩んでしまうようなことをしちゃうんです。それも僕たちのちょっとした役割だと思いますけどね。例えば平山素子さんのような作品も、とても大事です。ああいう作品があるから我々もいるわけだから。彼女が僕の作品に出ると、平山素子も変な人になります。凄くB級な感じになりますよ。いろいろ見せ方が変わる訳で。コンドルズはそういう役割を担っていると思っています。
これまでの公演のフライヤーなどでも、ダンス作品だとあまり謳っていませんね。ステージの内容もコントなどいろいろな要素が盛り込まれている。でも、あくまでもダンス作品として打ち出していらっしゃるのですよね。
実はそうなんですよ。僕がダンスな出身なので、ダンス作品を作るというところから始まりましたから。「ザ・コンボイ」というグループがありますよね。僕の先輩なんですけど、あの人たちはもっとダンスです。比較して、「コンドルズは何なんだろう」とよく言われたんですよ。「あなたたち、ほんとにダンスしているの?」って。めげずに「ダンスです」と言い続けました。チラシに「ダンス」と書かないようにしたのは、カテゴライズしたくなかったから。「ダンス」と書くとダンス寄りのお客さんしか来ない。それがもの凄く嫌いだったのね。そこをどうにかしてまたぐというか…だから、もしかするとどっちつかずかもしれません。今はありがたいことに「コンドルズさんですよね」と言ってもらえます。コンドルズというスタイルの作品みたいな。若い世代でもっと真似する人が出てくるかと思ったけど、そんなにいないよね(笑)。
近藤さんは今、おいくつですか?
46歳です。
これからについて何か考えていらっしゃることはありますか?
昔も今もそうですけど、メンバーが亡くなったら遺影を持って公演しようかなと(笑)。入団とか退団とか、我々の世界はないじゃないですか。いつ辞めてもいいし、いつ始めたのかもわからない。本人との戦いになってくるというか。その人なりのその人の生き方の部分が、男性って見えないんですね。そのときの、その年齢相応のパフォーマンスがある。それはそれで面白いですよね。そこはもう少し見届けたいので、全然やりますね。みんなも辞めたいって言わないですからね、しぶといことに。そのために今、若手も入っているんです。その中でバランスを実感しますよ。やっぱり面白いことに若い人には若いお客さんがつきますね。そういうものなんだなと。若いヤツらが頑張ると40代も結構頑張るんです。それも面白くて、元気にやっています。昔、「誓いの休暇」という作品を作ったんですが、その言葉が好きで。休暇というのは非日常、日常は普段服を着たりする普通のこと…そういう大前提のもとに、どこに境を作るのか、あるいは作らないのか。休暇で休みたいという訳じゃないんですね。休暇という永遠と、区切られると日常になってしまう時間がある。そんな中で、人生は休暇であったらいいなと思ったんです。そんな風に過ごしたいなと。きっといつか舞台も辞めたりすると思うんですけど、あまりそんな気はしないですよね。人生が休暇だと思えば、辞めるとか辞めないとか考えるのはバカバカしい話ですよね。
そうしたスタンスが、近藤さんのダンスにいい意味での脱力感をもたらしているように感じます。
おそらく、どこも境がないから。昨年、僕は東京国体の演出をしたんですよ。2,500人ぐらいの演出をしなくちゃいけなくて、とても大変でした。でも、みんなが参加したがっているというのを感じたんですよね。人々の意識が少し変わってきているような気がします。参加することに次のステージを見るというか…。ただ鑑賞で来ているのではない熱を感じます。ステージを観るということ自体も形が変わりつつあるんだろうなと。
近藤さんは、観客を巻き込む舞台づくりをなさいますね。
はい。舞台上からこちらが突きに行くと、これだけでその人はショックなんですよ。面白いです。お客さんをいじりたいというよりも、参加するという気持ちが欲しいんです。僕は音楽にロックを使っているし、ライヴハウスと同じような関係を観客と築きたい。参加するのが面白いから観に行く、と言ってもらえるのが嬉しいんです。
2/27 FRIDAY
南アフリカ共和国公演凱旋記念
コンドルズtour2015春「GRANDSLAM」
チケット発売中
■会場/名鉄ホール
■開演/19:00
■料金/全席指定 ¥6,000
■お問合せ/中京テレビ事業 TEL.052-957-3333(平日10:00~17:00)
※未就学児入場不可