HOME > Web 限定インタビュー > 剣持雄介インタビュー
若きリーダーの剣持雄介が中心となって民謡のスターが集結。ご当地、東海・北陸地方の唄はもちろん全国で唄い継がれてきた名曲の数々が、大御所と若手の競演で存分に披露される。当日は唄だけでなくトークでも大忙しの剣持に聴きどころ、民謡への想いを尋ねた。
――企画の経緯を教えてください。
豊田市能楽堂から多くの人を元気づけるような企画をやってほしいと依頼を受けて話し合ううち、全国の民謡を紹介する、こういうご時世なので歌で旅をするという趣旨が固まっていきました。人選も僕に任せていただいたので大御所にお声掛けしたんですが、ただ単に僕の憧れる大先生ばかりをお呼びした感じです。この顔ぶれが集まることはなかなかないので、お招きしておいて恐縮しています(笑)。
――先生方それぞれの魅力は?
原田直之先生は金沢明子さんとともに「ジーパン民謡」で一世を風靡され、今も第一線で活躍されています。先生は着物の時には腰に扇子をさすんですけど、その所作がかっこよくて僕も真似しています。芸の仕方、芸風に憧れるんですよね。高橋キヨ子先生は、神奈川県出身で、ちゃきちゃきの浜っ子。いつも気さくに声をかけてくださいます。高橋先生の唄い方は粋で、何を聴いても艶があるというのか色気がある。耳福ですよ。加賀山昭先生は「北陸の首領(ドン)」と呼ばれる方。どしっとした唄がお似合いになり、特に越中おわら節は風格に圧倒されます。第1部では東海・北陸地方の民謡を紹介するので、加賀山先生を中心にお届けしますよ。
――第2部は全国の民謡ですね。
みなさんに得意の歌を披露していただきます。中でも鹿児島の赤野清隆さんは僕の仲間で、三味線の弾き語りをやってくれます。赤野さんは三味線演奏家として知られていますが、唄も達者なんですよ。東海地方で聴く機会はめったにないと思い、両方お願いしました。見た目は西郷隆盛のようですが、歌うと声がすごく高い。ド肝を抜かれると思いますよ。
――幼少から現在まで、民謡との向き合い方に変化はありましたか。
小さい頃は両親が参加する民謡大会についていく形で全国をめぐり、旅する気分でした。小学校後半からはサッカーに打ち込み、中京大中京高校にも入ったんですが、実力を痛感する試合があり断念します。ゆずが流行った頃にはデュオを組んで、学祭や全国大会に出ましたね。4千バンド中の9組に選ばれたこともあるんですよ。大学時代はライブハウスで活動しながら、並行して民謡もやっていた。ただ、大学4年の頃すべて音楽を辞めると決め、就職します。ところが体調を崩して……。その時に自分を救ってくれたのが民謡だったんです。初めて三味線の師匠について、毎日血が出るくらい稽古した。三味線は唄を知らないとできないので、唄もたくさん覚えました。そのうちNHKの番組に呼ばれ、36カ所に行って毎回違う民謡を唄いました。経験を積んでいたおかげで唄の引き出しが役だったんです。僕は民謡に救われ、尊敬できる素晴らしい先生方と巡り合い、目標ができた。今はプロとして本当に幸せにやらせていただいてます。ちなみに、僕のお師匠さんは唄付けが得意で、初めて人に教わりたいと思った相手。それが松田隆行先生です。松田先生はオリンピックの閉会式で東京音頭を唄った方なんですよ。
――近ごろ若い世代が盆踊りに興味を持っているので、民謡も身近になりそうです。
盆踊りとともに、民謡も私たちの原風景にあることを思い返してもらえたらいいですね。今回はファミリー割引もあるので、ご家族で楽しんいただけるとうれしいです。
◎Interview&Text/小島祐未子
1/30 SUNDAY
民謡お国自慢
~剣持雄介とめぐるうたの旅~
■会場/豊田市能楽堂
■開演/14:00
■料金(税込)/全席指定 一般¥4,000 25歳以下¥2,000
■お問合せ/豊田市コンサートホール・能楽堂 TEL0565-35-8200