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20周年アニバーサリーツアーを松任谷正隆との共同演出で成功させた平原綾香が
昨年に続き、再び松任谷とタッグを組んでコンサートツアーを開催。
ストリングスを交えた編成で、愛知県芸術劇場コンサートホールに降臨する。
曲目をはじめ、松任谷の提案に驚いたり喜んだりしながら準備を進める平原が
制作の舞台裏や共同演出による新たな境地を語ってくれた。

共同演出の手応えはいかがでしたか。

プロデュースを自分からお願いしたのは、この20年で初めてのことでした。正隆さんにお願いして本当に良かったです。人生が変わるような演出をしていただきました。私は時々、自分のこだわり過ぎるところが嫌で。作品のためにとことんこだわるから、もっと肩の力を抜きたいのに。でも正隆さんはその2倍上を行くほどこだわってくれるので、それがうれしくて。また、私には出せないようなアイデアがありますね。去年で言うと「1曲目はアーヤのお父さん(※平原まこと)の十八番だった『ジョージア・オン・マイ・マインド』を吹いてくれないかな」と。私だったら絶対怖くて選べない曲です。やっぱり父と言えど師匠でもあるし、父の死がまだまだ受け止め切れず、サックスを聞くことも吹くこともできなかった時期。言われなかったら今でも吹いていないと思います。でも悲しさを出していいんだよと言われた気がして、思い切って吹いた。公演の度に父のことを思い出しましたね。それがWOWOWプラスで放送された時、正隆さんから「平原まことを偲ぶ」と英語で添えたことを告げられ、このツアーは父を偲ぶもの、そして父を亡くした悲しみと向き合うためのものであったんだと気づいたんです。しかも決して暗いわけではなく、見た人が自分の歴史を思い返すような演出だったので、来年もぜひお願いしたいなぁと思っていました。そうしたら12月、新潟県の苗場でユーミンさんがやっているコンサートに誘っていただいて。その場で正隆さんから「次はどうするの? また一緒にやろうよ~」と聞かれ、私も「今、言いましたね!」と返し、その波に乗りました(笑)。


以心伝心!

徹底的にこだわるところ、それが良いこだわりであるところ、正隆さんは生まれながらのプロデューサーだと感じます。おかげで20年歌い続ける「Jupiter」もコアファンを唸らせる新しい響きとして聞いてもらえました。昨日初めて曲目の第一稿が出たんですけど、ありえないような選曲でびっくりして。また初めて言いますが、ユーミンさんが1曲、作詞してくださいます。カバーさせてもらったことはあるんですけど、マネージャーさんや正隆さんは「自分からやりたいっていうのは珍しいよね」と言っていて、恐れ多いというか考えもしなかったことが起きています。デビュー当時、愛知万博でユーミンさんを中心とするイベントに参加した時も本当に勉強させてもらいました。思えば、私の人生の節目節目にはユーミンさんや正隆さんがいる。松任谷家の愛に触れながら音楽をできることがとても幸せです

内容はどう決めましたか。

正隆さんは明確なビジョンができる前の時間も楽しむ人で、とにかく話し合う。そのうちに〈光と影〉〈平和と戦争〉……、そういったものが見えてくると。あと一つ、子どもってキーワードも浮かぶと言っています。他に「おじいちゃんがジャストランペッターだったので、平原家のルーツはジャズなんです」という話もしました。クラシックの作曲家ホルストの「木星」のカバーでデビューし、ポップスをはじめ様々な曲を歌う事が好きな私をみて、正隆さんは「Swinging Classicsってツアータイトルはどうかな?」と。今回はストリングスが入るクラシカルな編成でやりたいというところから動いていて、あえてクラシックホールを押さえていますが、正隆さんは今とても困っています。クラシックホールはスモークがたけないとか、照明が限られるとか、ホールによって背後にお客様がいるとか、それらを含め舞台装置を考えなきゃいけないので「胃が痛い」と。私が「響くホール、好き!」と言えば、正隆さんは「響くホール、嫌い!」と言う。ポップスとクラシカルな響きの矛盾を融合させようとして、彼は一生懸命もがいています(笑)。

驚いたことは?

昔の曲が増えていますね。「ここにこんな曲を入れたいけど、ある?」と聞かれて選ぶので、楽曲ありきというより心情に合わせた映画みたいな作りなのかな。この1シーンに合う曲みたいな感じで進めています。そんな中「いいものを聞いてもらうことでファンがまた増えるんだよ」と言われて……。みんなが聞きたい曲を聞いてもらうんじゃなく、いいものを聞いてもらうという考えには改めて納得できました。衣装も「えっ!?」っと驚くものなので期待と不安でいっぱいですが、すべては〈時代〉を象徴する表現になっています。打合せは本当に細かい!正隆さんは頭から爪先までプロデュースしてくれます。

最後に言い残したことがあれば……。

名古屋に来ると大概、大好きなひつまぶしや味噌煮込みうどんを選ぶので、たまには違うものを食べたい!小山薫堂さんや食べログのフォロワー数No.1の川井潤さんに美味しいものを聞いたら30個くらい届いて、こんなにオススメがあるんだと。だから他も試してみたいです。昨日もひつまぶしでしたが、最近は肝焼きにハマってます。以上です(笑)。

◎Interview&Text/小島祐未子



11/10 SUNDAY
平原綾香 Concert Tour 2024 - 2025
~ The Swinging Classics! ~

【チケット発売中】
■会場/愛知県芸術劇場コンサートホール
■開演/17:00
■料金(税込)/全席指定 ¥8,000
■お問合せ/サンデーフォークプロモーション TEL 052-320-9100(12:00~18:00)
※未就学児入場不可