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清水順二×松本慈子×吉原雅斗 スペシャルインタビュー
 

清水順二が世界で愛される翻訳劇に取り組むユニット「SHY BOYプロデュース」による名作コメディプロジェクト第4弾は、「キャッシュ・オン・デリバリー」。イギリスの喜劇・笑劇作家、マイケル・クーニーの代表作に、注目の若手俳優たちが挑みます。

笑いを狙わず、畳み掛けるような展開で笑いを生む。
イギリスコメディの真骨頂を体感できる舞台。


清水順二(30-DELUX)

清水さんが翻訳劇に特化した演劇プロジェクトを立ち上げたのは、どんな理由からですか?

清水:日本の演劇は、役者のキャラクターに本や演出を寄せていくように作られることも多いのですが、翻訳劇では役者が役に寄っていくしかありません。セリフ量も多いですし、役者としての技量がすごく上がるんです。自分自身も90年代から翻訳劇に多く出演したりイギリスで演劇の勉強をしたりする中で、それを経験しました。だから、若い役者たちに翻訳劇を通してステップアップしてもらいたい。そんな思いから始めました。今回、松本さんと吉原さんが、このカンパニーで翻訳劇しかもイギリスの最高峰のコメディを体感するのは、きっと大きな経験になるんじゃないかと思っています。

松本:海外のコメディ作品に出演するのは初めてです。自分がどうやって観客の皆さんを笑顔にできるんだろうというワクワク感がすごくあります。

吉原:SHY BOYプロデュースで2018年に上演されたときの映像を拝見すると、笑いの文化が異なる海外作品を日本人が笑えるように昇華させた、とても観やすい舞台でした。僕も、その一員になれるように頑張りたいです。

原語の戯曲を日本人に響く言葉に置き換えることで生まれる面白さもありますね。

清水:ですから翻訳者の存在が大切だと思います。僕にとっては小田島恒志先生との出会いがとても大きいです。例えば同じ戯曲でも、小田島版の翻訳は日本人がわかりやすく笑えるようになっています。2019年に上演した「ザ・フォーリナー」では、僕が演じる人物のセリフに「ハエは怖いです」というものがありました。でも英語版では「bee」と書かれているんです。小田島先生は「蜂だと面白くないからハエにしたんだよ」とおっしゃって。確かに、すごい強面の悪いヤツが最終的にハエを怖がるから面白い。お客さんも笑っていましたよ。「キャッシュ・オン・デリバリー」にも、小田島先生のウィットに富んだ表現が随所に散りばめられています。


松本慈子(SKE48)

「キャッシュ・オン・デリバリー」は、ある事情を抱えた男が嘘に嘘を重ねて大騒動を引き起こすノンストップ・コメディ。皆さんが演じる役について教えてください。

松本:私は、主人公エリックの妻リンダを演じます。リンダは、エリックが社会保障手当を不正受給していたことや、それをやめるためにさらに嘘を重ねて事態をこじらせていることを知らぬまま、彼や周囲の人と関わります。泣いたり怒ったり感情の振り幅が大きく私とは正反対の女性なので、新しい自分になれると思って楽しみにしています。

吉原:僕が演じる葬儀屋のミスター・フォーブライトは、ドタバタ劇の中で重要な役割を担っています。愚直に自分の仕事をしている様子が異質に見えるところに面白さがあると思うので、ちゃんと異質になれるように務めたいです。

清水:僕が演じるのは社会保障省の調査員。彼がエリックを訪ねたことから、一連の騒動が始まります。堅く厳しく、妥協は一切許さないような人物像を作りたいと思っています。そういう人が騒動に巻き込まれて振り回されるのが面白いわけですから。これは、イギリスのコメディの中でもファルス(笑劇)といわれるジャンルの作品。畳み掛けるように物語が展開されていきます。そこで笑いを狙いにいっちゃダメなんですよ。

質の高い翻訳劇を若いキャストによって上演することは、シーンの活性化にもつながりそうです。

清水:昔は、名古屋の演劇がもう少し盛り上がっていた時期があったんですよね。翻訳劇も今は本当に数が少なくなってしまって。アクションエンターテインメントやミュージカルもの、2.5次元も制作されていないと思います。演劇はコミュニケーションの基礎にもなります。欧米やアジアの先進国では小学校で演劇の授業がありますが日本にはない。だから大人になっても人見知りの方が多くなる傾向があると思うんですね。僕は昨年から、生まれ育った名古屋で制作を始めましたが、いずれは教育にも携われたらいいなと思っているんです。地域にもっと演劇エンターテインメントを根付かせたいという気持ちがあります。俳優の仕事が少ないですからね。名古屋だとBOYS AND MENやSKE48の皆さんがめちゃくちゃ頑張ってくれていますが、アイドルを卒業して俳優をやりたいと思ったら東京に行くしかない、みたいな現象が起こるんですよ。名古屋で商業演劇や映画、ドラマがもっとたくさん制作されていたら、アイドル卒業後に「演劇で食べてます」「映画の俳優になりました」という人が増えると思うんです。吉原さんや松本さんみたいにアイドル活動をしながら俳優としても名古屋ですごい実績を作れるように、僕が仕掛けられたらいいなと。ついでに、清水っていうプロデューサーもなんか出演してる。「出たがりだね」みたいな(笑)。


吉原雅斗(BOYS AND MEN)

松本:清水さんのお話を聞いて、まずはSKE48の拠点である名古屋、愛知を私たちももっと盛り上げたいなとすごく思いました。やっぱり愛知県の人たちは一番の味方ですし、ここからもっと羽ばたけたらいいですね。

吉原:僕らのグループも、名古屋にエンタメを根付かせたい、夢を見られる環境を作りたいという思いで活動しています。だから、志は清水さんと同じです。お笑いやるなら大阪、演劇や歌手、モデルをめざすなら東京という中で、第三の都市と呼ばれる名古屋にそういうものがないのは、やっぱり悲しいですよね。清水さんがおっしゃるような状況が本当に実現したら嬉しいし、僕らの後輩たちも、もっと夢を見てもらえたらなと思います。

◎Interview&Text/稲葉敦子


5/20 FRYDAY〜22 SUNDAY
キャッシュ・オン・デリバリー

チケット発売中
■会場/ウインクあいち 大ホール
■開演/5月20日(金)18:30 21日(土)12:30、17:30 22日(日)13:00
■料金/全席指定(税込) 前売¥8,900 当日¥9,200
■お問合せ/中京テレビ事業 TEL.052-588-4477(平日11:00〜17:00)
※未就学児入場不可