HOME > 平賀マリカ 歌う生活 > 01「私とジャズボーカルの出会い」
皆さん、初めまして!ジャズボーカリストの平賀マリカです。今回よりこのコラムを担当し、私の音楽生活にも触れながら、ジャズボーカルの楽しさや歴史、また、アーティストや曲の魅力などを紹介していきたいと思います。楽しくおつきあい頂けたら幸せです!さて、ジャズボーカル、と一言でいうと、「古っ」とか、「難しい」とか、「歌詞が英語でしょ~?」などと思われがちですが、皆さんの周りに結構あるものですよ。例えば、お店のBGMで何気なく耳にしていると思います。居酒屋さん、ラーメン屋さん、牛丼屋さん、おしゃれなバーやカフェなど、ボーカルが入っている時もあれば、楽器だけの時もありますが、結構身近にあるものなのです。なので、決して難しいものでも、古いものでもありませんよ。何気なく聞き流していても心地いいのは、きっと歌詞が英語で、歌が楽器のように聴こえ、メロディが歌詞よりも浮き立って聴こえるから、なのです。私がジャズという音楽に触れたのは、大学で音楽のサークルに入っていた時。友達とバンドを組み、ポップス、ロック、フォーク、ファンク…。「何でも歌うことができれば楽しい」と、学祭などで歌っていました。日本語の曲も歌っていましたが、いわゆる洋楽、特に英語で歌われる曲が好きでした。きっとまだ行ったこともないアメリカという国の自由な気風に憧れていたのでしょう。雑多なジャンルを歌っていた私でしたが、ジャズだけは当時、どんな音楽か知りませんでした。ある日、友人が貸してくれたレコードは、マリーナ・ショウ「Who is this bitch anyway?」でした。今でいうフュージョンなのですが、冒頭の「Street walking woman」は、ファンキーでスピード感のある16ビートと、交互にでてくる聴いたこともない体が揺れてくるような不思議なビート。これが、後にスイングビート、4ビート(Fourbeat)である、と知るわけです。そして、これがジャズの基本である、ということを知った私は、貪るようにジャズボーカルアルバムを聴き始め、女性一人では入りにくいジャズ喫茶に通い、ジャズボーカル教室に入学し、いろんな大学のジャズ研でジャズを歌い始めるようになりました。好きなボーカリストはアニタ・オディ、ヘレン・メリル、エラ・フィッツジェラルド、ナット・キング・コール等々。そしてこの度私はこのナット・キング・コールに焦点を当て、昨年10月にニューヨークに渡り、トリビュートアルバムを制作してきました。次回はこのナット・キング・コールと、私の2月に発売される、彼へのトリビュートアルバム制作秘話などに触れてお話していきたいと思います。また次号でお会いしましょう。