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「前田公輝」スペシャルインタビュー
取材日:2024.10.01


韓国のウェブコミックで累計300万部の大ヒット、
ドラマは韓国ドラマ賞を総なめにし、ミセンシンドロームなる社会現象を誘発。
日本でも2016年にドラマ化された『未生(ミセン)』が、
前田公輝主演で初のミュージカル化、大阪・新歌舞伎座で世界初演される。
商社を舞台に、働く意味や成長と葛藤などを描いたヒューマンドラマだ。


ミュージカル初主演ですね。ご出演が決まった時の心境を教えてください。

まさか自分の名前が「主演」の位置に置いてもらえるなんてと思いながらも、感謝の気持ちでいっぱいでした。以前、ミュージカルに出演した時も、思ってもいないような嬉しい言葉をいただく機会が本当に多くて、そういったお声もこの作品につなげてくれたのかなと思っています。

嬉しい言葉というのは?

初めてのミュージカル作品はミュージカル『ロミオ&ジュリエット』(2021年)だったのですが、SNSなどで「本当に初ミュージカル?」というようなことを書かれている方がいて嬉しかったのと、キャストの方々も「回を重ねるごとに歌がどんどん良くなっている」と言ってくださって。2本目の『スリル・ミー』(2023年)は木村達成さんとの二人芝居で、「10年ぐらいやっている作品にもかかわらず、真新しい2人だった」と言ってもらえたり…。自分が思う以上の反響をいただきました。


『ミセン』の原作マンガや韓国版ドラマ、日本版ドラマをご覧になって、どんな印象でしたか?

僕も社会人経験がないのですが、それでも共感しましたし、このミュージカルでも僕の上司となるオ課長の短いセリフに込められたメッセージがグッと刺さりました。なので、会社にお勤めの方は僕以上に共感されることが多いのだろうなと思います。商社が舞台という未経験の世界を体験する楽しさもありますが、観客の皆様に共感してもらえるものを作ることはチャレンジでもあります。

前田さん演じるチャン・グレはプロの囲碁棋士の夢が絶たれて、商社のインターンで働くことになるという役柄ですが、前田さんは囲碁のご経験はありますか?

経験はないのですが、1つ前の作品が囲碁をやっている役でした。それで囲碁の指し方も知っていたので、ビジュアル撮影で囲碁を指すポーズをしてみたら、メインビジュアルに使ってもらえて。それも嬉しかったです。

チャン・グレという役柄については、どのようにお考えですか?

チャン・グレは囲碁でいろんな方と戦っているので、何かあっても表面上は動じません。表情がそんなに豊かじゃないように見えるのは、囲碁棋士という勝負師の一面も持っているから。チャン・グレは表面的には燃えていないように見えるけど、心の中で常に闘志を燃やしていて、トラブルに直面しても常に冷静なところがすごく素敵だなと思います。僕、今年の4月に33歳の目標を聞かれたのですが、その時に「果敢に冷静に」と言ったんです。偶然ですが、チャン・グレに近いですよね。「果敢に冷静に」という部分も大事にできたらいいなと思います。

この作品は挫折も描かれています。前田さんに挫折の経験があれば、それをどう乗り越えたのかということも含めて教えてください。

の初めての挫折は7歳の時でした。2回目のオーディションだったのですが、初めてのオーディションで受かったものだから、「僕のためにみんな集まってくれてありがとう」みたいな感じで天狗になっちゃって…(笑)。で、一次審査で落とされて。「もう、この世の終わりだ〜!」というぐらい挫折を感じました。でも、その時に「負けることがある」ということを知って、それでもどんどんチャレンジしていきたいと思って、今につなげてきました。

考え方が後ろ向きになった時、前田さんはどう対処されますか?

僕は、何かあってもその1週間後までには無理やりでも気持ちを前向きにさせたい人間ではあるので、参考になるかわかりませんが、自分のキャパシティが狭いがゆえにいっぱいいっぱいになった時なんかは、瞑想して、湯舟に浸かって、有酸素運動をします。この3つが基本的な僕の乗り越え方です。

この取材の時点では歌稽古が始まったばかりですが、本作ではどういった楽曲を歌われますか?

先程もお話したようにチャン・グレはあまり気持ちを顔に出しません。なので、そんな彼の心の声を歌に乗せています。楽曲も、歌詞や曲調を繰り返す部分が多いので、劇場を出るころには鼻歌で歌えるくらいには覚えてもらえるのではないかと思います。また、1幕と2幕ではチャン・グレの環境や状況ががらっと変わるのですが、1幕の音楽を2幕でもちょっと使っていたりして、そういう融合も面白いですね。

世界初演の作品が大阪から幕を開けるのも嬉しいニュースです。

ミュージカル『ミセン』は商社のオフィスで起こる出来事を描いていますが、そこにミュージカルというエンタメが乗ることによって、さらなる広がりを見せています。「ミセン」とは韓国の囲碁用語で、碁盤上で「死に石」にも「完全に生かされた石=ワンセン(完生)」にも転ぶ石ということを意味しています。登場人物はまさにミセンなキャラクターばかりなので、皆さんが劇場に来てくださることでワンセンになると思っています。皆さんと一緒にミュージカル『ミセン』を育めるよう頑張ります!

◎Interview&Text/岩本和子
◎Photo/来間孝司



1/10FRIDAY〜14TUESDAY
新作ミュージカル『ミセン』
■会場/新歌舞伎座
■開演/1月10日(金)・14日(火)13:00
1月11日(土)17:30
1月12日(日)・13日(月・祝)12:00、17:30
■料金(税込)/全席指定
S(1・2階中央)¥14,000 A(2階左右)¥13,000
B(3階)¥9,000 特別席¥15,000
■お問合せ/新歌舞伎座テレホン予約センター TEL.06-7730-2222(10:00~16:00)