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「LEO」スペシャルインタビュー
取材日:2023.02.15


箏奏者のLEOは、日本人の母親とアメリカ人の父親のもとに生まれ、
インターナショナルスクールの音楽教師で演奏家の
カーティス・パターソンから箏を学びました。
16歳でくまもと全国邦楽コンクール史上最年少最優秀賞・文部科学大臣賞を受賞し、
2017年、19歳にしてメジャーデビューを果たします。
そんなキャリアを持つLEOが目指すのはどんな音楽なのか?
その裏付けや、今回のジャンルを超えたデュオ・リサイタルについて語って頂いた。


先日ラジオで、ピアニストの角野隼斗さんと楽しそうにお話しされているのを聴きました。音楽家の方との交流はよくされているんですか?

邦楽の方はもちろんよくお会いしますが、邦楽以外ですと、チェロの宮田大さんや指揮者の鈴木優人さん、同世代では、藤田真央君や成田達輝さんとも、番組やコンサートでの共演がきっかけでよくお話させていただいています。また、作曲家の方ともコミュニケーションをとるのが好きでして、坂東祐大さんや、今回最新アルバムで新作を書いていただいた網守将平さんなど、クラシックだけではない独自の路線で活躍されている方々からも刺激をもらっています。音楽の知識ももちろん幅広いですし、アートや社会の流れなど様々な視点を取り入れて音楽にアウトプットしているので、お話を聞いていると発見が多いですね。

影響を受けている音楽家は他にもいらっしゃいますか?

今回の「しらかわホールプレミアタイム2023」にも出演されるピアニストのヴィキングル・オラフソンも好きですし、同じくピアニストでフランチェスコ・トリスターノやティグラン・ハマシアン。また、今回のリサイタルでも作品を演奏しますが、坂本龍一さん。テクニックや楽曲が素晴らしいのはもちろんですが、皆さんとても広い視野で音楽づくりをされていますよね。例えばトリスターノさんにしても、クラシック奏者としても一流ですが、ジャズやテクノミュージックにもチャレンジしていて。ジャンルという意識を持たず、純粋に自分の好きな音楽を追求しているんだと思います。そういった方々からインプットした要素が、自分の取り組む音楽や創作にも活かされていると思います。自分の想像を超えたものからインスピレーションを得ることで、新しいものを創造できるのでは、と思っています。たが、箏でライヒを演奏すると、原曲のバージョンとは一味異なる、面白い響きがありますね。一方、ドビュッシーやバッハを箏で演奏した際には、箏との意外な共通点や親和性を発見し、新鮮でした。僕が弾く箏の音は「ピアノに似ている」とよく言われるんです。実際ピアノと共演する機会が多いので、ピアノに似た音質を出すような演奏法を考えている部分もありますが、自分の中では「芯の強いキラキラした音」を目指しています。そしてレコーディングやコンサートの経験を重ねてすごく感じるのは、箏は和楽器の中でも、いい意味で音の特徴が薄い楽器だということ。元来箏は地唄の伴奏楽器として古典的には発展してきたので、どんな楽器とでも音の方向性を探っていける器用さもあるんです。

今回のリサイタルでもバッハをワルター・アウアーさんと共演しますし、宮城道雄「春の海」といった代表的な箏曲のほか、坂本龍一、吉松隆といった日本人作曲家の作品も演奏されます。

アウアーさんのフルートと僕が弾く箏、この2つの楽器だからこその面白さやお互いの良さが引き立つ曲を考えました。坂本龍一さんの『Andata』にはバッハにインスピレーションを受けたメロディがあり、原曲だとそのメロディにノイズがオーバーラップします。そのノイズとバッハ的なメロディが、変わるものと変わらないもの、というような哲学的なモチーフになっているのですが、その世界観を二人でうまく表現できれば、と思っています。吉松隆さんの作品も大好きで、今回共演する 「双魚譜」という曲はまるでプログレッシブ・ロックのような作品。箏は、通常の手の動かし方とかなり異なっていて、めちゃくちゃ弾きにくい(笑)。今回箏とフルートで演奏しますが、もともとは箏と尺八の楽曲で、尺八のパートもなかなか吹ける人がいないほど難しいんです。楽曲は、お箏には聴こえないような西洋的なパッセージもありながら、ハーモニーやメロディの音階は日本的な要素が取り入れられています。西洋にも和にもカテゴライズできないような、とても美しい楽曲ですので、ぜひ多くの方に聴いていただきたいです。

アウアーさんとの出会いで、また新たな音楽世界が広がりそうですね。

共演はもちろん、お会いするのも今回が初めてなので楽しみにしています。コンサートでは共演のほか、お互いのソロでの演奏もお届けします。箏の音楽、フルートの音楽、そしてその2つが重なったときの世界観の広がりを楽しんで頂けたらと思います。

◎Interview&Text/福村明弘
◎Photo/安田慎一



5/19 FRIDAY
しらかわホールプレミアタイム 2023
LEO(箏)×ワルター・アウアー(フルート)
デュオ・リサイタル

■会場/三井住友海上しらかわホール
■開演/18:45
■料金(税込)/S¥7,000 A¥6,000 U25¥2,000
■お問合せ/東海テレビ放送 事業部 TEL.052-954-1107(平日10:00〜18:00)