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「平原綾香」スペシャルインタビュー
取材日:2023.12.08


東京新聞・中日新聞の連載「平原綾香と開くクラシックの扉」を
ライブ化した恒例のコンサートが3月に名古屋で開催される。
第一部では、連載で取り上げたクラシックの名曲を解説付きで紹介。
元CBCアナウンサー・小堀勝啓との息の合った掛け合いも聞きどころだ。
そして第二部は、平原綾香のヴォーカルとセントラル愛知交響楽団の共演。
今回の指揮を務める渡辺俊幸が作曲した「おひさま~大切なあなたへ」や
デビュー曲「Jupiter」ほか平原の歌の数々がオーケストラに彩られる。


選曲はどのようになさっていますか。

基本的には連載で取り上げた作品を中心に選んでいます。もともと思い入れのある曲や過去にカバーした曲も念頭に選曲しているので、必然的に私が好きな曲が多いですね。他には、漫画でブームになった曲や映画で有名になった曲も多いです。今回の「モルダウ(ヴルタヴァ)」は、私もそうでしたけど学校の合唱でよく歌われるので多くの方が知っているはず。「ペール・ギュント」の「朝」もCMで使われている曲です。パッヘルベルの「カノン」も有名ですよね。このコード進行を使えばヒット間違いなしと言われており「カノン進行」という言葉も生まれた、世界中で愛されている名曲です。



カノン進行について、もう少しお聞かせください。

ベースの音を順次進行させることが出来るのがカノン進行の特徴です。構成音が綺麗につながっているので全体的に美しいイメージのままで、何度でも繰り返したくなるコード進行。聞いていると、記憶を思い巡らすような感覚になるんですよね。また「カノン」は卒業証書を渡す時によく流れます。長い間聞いていても盛り上がりは少しだけで全体的に落ち着きがある。一曲通して聞いても、すべてがサビのようでもある。「何年何組の山田君の時がクライマックスだった」みたいにならないのがいいんでしょうね(笑)。

今回は二つのピアノ曲にも注目ですね。

ラフマニノフのピアノ・コンチェルト(ピアノ協奏曲第2番)は大好きなんですけど、生で聞くのはまだ少なくて。涙がチョチョ切れる本当にかっこいい作品で、20周年記念コンサートのツアーメンバーでもある大貫祐一郎さんがピアノを弾きます。私は大貫さんのピアノのファンなのでとてもうれしいですし、この曲を生で聞けるありがたさ!そして「カノン」「ペール・ギュント」「モルダウ」「ラプソディー・イン・ブルー」まで聞けちゃうコンサートは希少です。

もう一方の「ラプソディー・イン・ブルー」はどんな魅力がありますか。

奏者の力量にかかってくるというか、表現力が求められる曲だと思います。私がいちばん好きなのは出だしのクラリネットのソロ。グリッサンドという技法が使われていて、聞かせどころのひとつです。私は父(平原まこと)が吹くのを聞いていたので思い出深いですね。何回も聞きたくて、よくそのパートだけ吹いて聞かせてもらっていました。ピアノのインプロビゼーションも毎回楽しみ。奏者がアドリブで弾いていいんです。だからクラシックの技術もないといけないし、ジャズの素養も持っていないといけない。クラシカルな響きの中にジャズの要素が入っていますが、その即興パートをジャズっぽい感じで演奏するのではなく、その人の内から出てくるような、誰の真似でもない演奏が求められると思います。選ばれた人、選ばれたオケだけが演奏できるイメージがあり、今回も生で聞くことができるのが楽しみで仕方ないです。

百年後も残る作品を生み出すには何が必要でしょうか。

私自身で言えば、当たり前ながら心意気ですね。例えば海外で平原綾香の歌が流れた時に「違う曲を流してほしかった」という気持ちになるんだったら、それは本物じゃない。どの曲も、これが私ですと胸を張っていられるようなミュージシャンでいたい。だから常に、日本でも海外でも伝わる楽曲を作ろうと考えています。「日本人だから日本人に届けばいいや」ではいけない。そういう心意気は持っています。

連載から始まったコンサートですが、書くことへの想いは?

日頃はスマートフォンのメモにいろいろ書いてネタ帳にしています。エッセイをSNSで発表すると、大勢の方が読んでくれて、たくさんのコメントをくださる。私自身の気づきや、残しておきたい言葉…父や母、尊敬するミュージシャンからもらった言葉などもしたためてきました。いつかエッセイ集を出せたらいいなという夢もできました。

2023年を振り返りつつ、24年の展望を教えてください。

昨年は初めて「あ、忙しいな」と思いました(笑)。ミュージカルのお稽古と本番をやりながら、20周年のアニバーサリーアルバムのレコーディングをしたり、テレビに出演したり、コンサートツアーのリハーサルをしたり。「ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル」ではこれまでにない役を演じました。衣装の布の面積は少なかったけど(笑)、舞台を観たみなさんから毎回届く嬉しいメッセージに支えられて、毎公演全力で打ち込むことが出来ました。同時にいろんなものをやりながらの日々でしたが無事に乗り越えられたので、2024年も全力で生きていけそうです。やらなきゃいけないことが押し寄せても、スタッフのおかげで乗り切れたという想いです。父が亡くなって2年、自分がしっかりしなきゃと張りつめていました。男性がいなくなって、女性だけになると急に強く出てくる人がいるので、そういう人に負けないように私自身“オラオラ”してたんですよ。家族やスタッフを守りたかったんですね。2023年は忙しくて悲しくて、でも幸せで、オラオラした年だったなと振り返っております(笑)。それで今年は、デビュー以来初めて休暇を取ろうと話しているんですよ。ロサンゼルスにいるお姉ちゃんのところに母と二人で行っちゃおうと(笑)。甥っ子、姪っ子もいるので、いっぱい遊んで癒されて、また仕事を頑張ろうと思っています。あと、日本の美味しいお餅をロスの人たちに食べさせたい。お餅の情報を募集したらたくさん届いたので、お取り寄せしてロスで餅パーティを開くのが楽しみです。

◎Interview&Text/小島祐未子
◎Photo/安田慎一
◎Hair&Make Up/Hiromi 
◎Styling/Mariko



3/31 SUNDAY
Dear Classic.A-ya meets Orchestra.
「平原綾香と開く クラシックの扉コンサート2024」

■会場/Niterra 日本特殊陶業市民会館 フォレストホール
■開演/17:00
■料金(税込)/全席指定 S¥11,000 A¥9,900 B¥7,700
■お問合せ/CBCテレビ事業部 TEL.052-241-8118(平日10:00~18:00)
※未就学児入場不