HOME > 清水ミチコのシミズム > 清水ミチコの「シミズム」#46
先日、女子芸人たちのごはん会がありました。
こういうメンバーで過ごす時間、
めっちゃ面白いことを言って大爆笑してるわけではありません。
むしろ、仕事帰りに集まるのでみんな疲れてるし、
本音を語る、グチをこぼす、悩みを吐き、懺悔をする、
なんてこともしょっちゅう。
明るくてハイテンションな人などは誰もいません(ガッカリ)。
でも素直で率直な人が多いため、本音を語りあえる分、
(あ~よかった、この気持ちは自分だけじゃなかったんだな)
などと、わかりあえることがしばしばで心から打ち解けられます。
その晩は、「楽屋での挨拶」の話になりました。
本番前の挨拶は、ある意味この業界の常識。
コンコンと楽屋をノックをし、名前を言い、
「今日はよろしくお願いします」、
と先輩にお伝えするだけ。
しかしハッキリ言って、
本番前の楽屋はどなたもたてこんでいるもの。
スタッフとの打ち合わせがあったり、
台本に目を通しつつ、衣装に着替え、メイクをする。
本番後なら時間はあっても、本番前は1分でも惜しい。
中にはイラッとした空気のまま
「あ、ハイよろしくね!」
と煩わしそうな方もいらっしゃいます。
「これは迷惑じゃないんですか?」
と相談する後輩。私は答えました。
「30代の時に、勝手に廃止しちゃった」
どよめく皆さん。どやさ。
いちいち立ち上がって返事をする先輩は、
けっこうなめんどくささ。
年配者ほど、楽屋に何回もノックが来るワケです。
そろそろ憲法改正のときではなかろうか、と思い、
みずからやめてみたのでした。
まったく何の問題もありませんでした。
「大丈夫だったよ」と、威張って答える私。
しかし、実は後日談がありました。
私としては(いいことをした)つもりだったのですが、
ある日、大物芸能人さんからこういわれたのです。
「今日も挨拶来なかったね。二十年前もそうだったよね。」
と笑顔で。
空気はピーン!私はキーン!まわりはシーン!
即刻、謝罪する私。
し、し、しくじった!
よかれと思ってたのですが、
しきたりはしきたりなんですよね。
相談された後輩には、
もちろん「ただし人によるからね。」と、
付け加えたのは言うまでもありません。