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清水ミチコのシミズム

自分の単独ライブは、お笑いのネタと音楽モノが
半分ずつくらいで構成されています。
単独でなく、誰かのライブに呼ばれるようなときも、
お笑いのステージという日もあれば、
野外フェスなど音楽のイベント、ということも増えてきました。
ある日、ふとこう思いました。
お笑いのステージと音楽のステージとの基本的な違い。
それはステージに立つ、演じる側の気持ちに、
「お客さんには座ってゆっくり観てほしい」が強いか、
「立ってもらっててぜ~んぜん平気!」が強いか。
そういえば数年前のこと。
私はちょっとやらかしてしまったことがあります。
それは、代官山のオシャレなライブイベントでのこと。
いろんな人がたくさん出るイベントで、
お客さんもオシャレな方でいっぱいでした。
そろそろ自分の順番となり、ステージに向かった私。
ふと、(お客さんに、このまま立って観てもらうなんて、
気の毒ではないかな)と思い、
マイクに向かってこう言ったのです。
「皆さん、どうぞお座りください。」
そしてその通り、皆さんわらわらとしゃがんでくれたので、
私は(フフフ。これで、また私の好感度も上がっちゃったりして!)などと、
ほくそえんでいたのですが。
ライブが終わったあと、
楽屋代わりにと誘導されたカフェの一室にいた私は、
廊下でしゃべっている女性たちのこんな会話を聞いてしまいました。

「面白かったね、足痛かったけど。

「足、クタクタ~。」
(え!)と驚いた時はもうあとの祭り。
そう。そこは狭い会場だったので、
数百名でギッシリ埋めつくされており、と
ても床に体育座りのように、お尻を置く、
なんてポーズはできなかったらしいのです。
結果的にはヤンキー座りのような、一番キツい、
しゃがむ体勢を私に強いられていたのです。
可哀想すぎです。
こんな間違ったおせっかいがあったでしょうか。
ハイヒールの人もいたかもしれません。
となれば、もっと地獄だったことでしょう。
今考えても、冷や汗が出てくる思い出です。
「余計なことは極力しないこと」。
単独はともかく、人様のステージに呼ばれたときの、
私の教訓になっています。