HOME > 清水ミチコのシミズム > 清水ミチコの「シミズム」#38
たまの休日、私は近所の図書館によく出かけます。
静かで落ち着いていられる場所。
他に音楽がかかってないところが、都内のどこにありましょう。
こないだ行った美容院でも、
リラックス系のBGMが大きめにかかっていたのですが、
それはいいとしても、
トイレに行った時くらい(ドアを閉めれば)と思ってたら、
なんと、トイレにはトイレ専用の別のスピーカーがあり、
違うBGMを流していました。
もしかしたら現代人は沈黙している空気が恐いのではないか?
と思えるくらいでした。
耳だけでなく、スマホが片時も離せなくなる、
という事例は各地で多発してるようで、
目も沈黙をコワがっているみたいですね。
ついこないだ、テレビ番組でご一緒した、
ある有名塾の先生から聞いたのですが、
「二時間、スマホいじれなくなるカバー」
みたいなのを貸し出してみたら、
すぐに飛ぶようになくなったとのこと。
勉強をしたがっているのに、
邪魔をしているのは自分の目だったなんて、
なんと皮肉な話でしょうか。
でもその気持ちはわかります。
私もすぐスマホをいじってしまっているのですから。
しかし、図書館では一応電源を切るので、
ちょっとの時間、我にかえるというか、静かになれるワケです。
ところがその日、バッタリ知り合いに出会いました。
番組のプロデューサーです。
小声で挨拶する私たち。
(短めにね)という暗黙の了解を破り、
小声でペコペコと私にあやまってくるプロデューサー。
いったいなんだろう?
「こないだの番組、ヒドかったでしょ?観た?ごめんね、本当に。」
と言います。
「え?めっちゃ面白かったけど?なんだっけ?」
と小声で言うと、
「いや、清水さんの顔にライト当てるの忘れちゃってて、あの時。
シーワシワだったから、
ボク、あやまらなきゃ、と思ってたんだ。ホント、ごめんね。」
(おい!デ・リ・カ・シー!)
と思いながら、シーワシワ、という言い方に、
言い返すのも笑いもとにかくガマンしました。
そこは沈黙しとけよ!