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清水ミチコのシミズム

今年もまた、私の全国ツアーが始まりました。
先日、福岡で公演があったので、
羽田空港でチケットを片手に並んでいた時の事です。
後ろで立ってたカップルが大きな声で話をしています。
「ホラ!あれ!」と、どこかを指さしてるよう。
「あの、誰だっけ?あの有名な…。」と、
どなたかの名前を思い出せない様子。
(いったい誰のことだ?)と私も知りたくなり、
さりげなく見てみたのですが、
その姿はすでにありませんでした。
しかし背中でこんな声が。
「競馬の騎手の奥さんだよね。」
「うんうん。巨乳タレントでさ。」
私は振り向いてこう言いたくてたまりませんでした。
「ほしのあきさん!」と。
しかし言わなくて正解でした。
というのは、そのあとがこんな会話だったからです。
「競馬の騎手ってさ、だいたい巨乳好きなんだよね。」
新説です。そんな話は聞いた事ありません。
私は勇気があったら振り返って
(そんなことないんじゃない?)と、
言ってみたい衝動にかられました。
しかし、彼女はこう言いました。
「そりゃそうだよ~。だって、毎日馬に乗ってるわけだからさあ。」
「そうだな。」
なんだこの会話。
馬に乗ってたら巨乳が好きになるって流れ、
いったい何なの?百歩譲って牛ならまだわかる。
と、ケータイをいじってるフリをしながら心でツッコんでいました。
ところで先日、弟と電話で話してたときのこと。
ふと弟が「こないだ矢野顕子さんの
『ファミリーヒストリー』(NHK)を観たんだけどさ。」
と言います。
「ああして先祖の姿を知っていくと、あ~、
矢野顕子さんという方は、やっぱり人々を癒す、
とか、なぐさめる、といった職種になるべくして
生まれて来られたんだなあってわかる。」
と言いました。同意です。
「で、姉ちゃんは、やっぱり先祖とか考えていくとさ~。」
お。何のために私は生まれてきた?と、耳をダンボにしたら。

「やっぱどう考えても
人を冷やかすために生まれてきたんだろうな。」

おまえは真顔で何を言ってんだ。
冷やかしのプロってなんなんだよ。
まったくどいつもこいつも、でした。