HOME > 清水ミチコのシミズム > 清水ミチコの「シミズム」#33
小学四年生のときの話。
当時、担任の教師は私と同じ苗字の清水治先生。
なかなかの人格者で、
「俺は生徒のみんなが大好きだ!」
という熱いメッセージこそ出さないものの、
生徒の言動をニヤニヤ笑ってたり、
いじったりするのがうまく、
どことなく子供というものを心から面白がってるフシがあったのです。
その温かさから、生徒にも人気がありました。
もちろん私もとても尊敬してました。
その頃、私は面白ノートというものを作っていて、
それに雑文やマンガなどを書いて、
クラスの仲のいい女子に見てもらってました。
同級生のあだ名を書いたり、
四コママンガなど、
子供の考えそうなくだらないものばかりだったと思いますが、
友達が読んで笑ってると、ものすごく嬉しかったし、
張り合いがありました。
ある日のこと、自分なりにエロ漫画を描いてみたら、
これが「わあっ!」という感じでものすごくウケたのです。
大ヒットです。
しかし、しょせんは小4。
いったいHな行為の最後はどうなるのかはわからなかったのですが、
裸の美女が「うっふんあっはん」、
と言ってる様子を書いただけで、大ウケ。
気に入っていただけましたか?
気をよくした私はさらに続編を描き、
「うっふんあっはん」をより多めに入れるという
大作に挑戦したのですが、
あんまり女子が笑ってたせいか、
清水先生が「なにそんなに笑ってんの?」と
ノートを取り上げるではありませんか。
見つかってしまったのです。
「おまえ、なんだこれ?」とあきれ顔の先生。
放課後、先生に呼び出され、
「そのノート出してみ。」と言われ、またビビリました。
そして、なんと先生は
「はい。大きい声で朗読して。」
というではありませんか。
顔から火が出るとはこのことか。
私は涙をぬぐいながら
「うっふんあっはん、いや~ん、ダメ~ん」を、
暗いトーンで言い、本当に恥じ入りました。
今思い出しても汗が出ます。
「恥ずかしいこと書いてんじゃないよ。」
「はい(小声)。」
廊下で私の親友のよっちゃんが待っていました。
どんな目に遭ったかを言うと、
よっちゃんは涙を流しながら爆笑してました。
私はあれから生涯一度もエロ漫画を描いていません。