HOME > 清水ミチコのシミズム > 清水ミチコの「シミズム」#32
テレビ局のメイクさんが、こぼしていました。
「新入社員さんが、思った以上に仕事がシンドいらしく、
またあきらめも早くて、どんどん辞めて行く。
やっと覚えたナ、と思うころにはいないので参っちゃいます。」
とのこと。
「メイクのプロになる!」とか、
「メイクの専門学校の先生を目指したい」という
夢があるような人は割としっかり務まるのだそうですが、
シンプルに「生活の為」となると
これが毎日通うのがむつかしくなるそうです。
急に辞められると、そのぶん予定が狂い、
結局先輩たちがまた大変になっちゃうのだと。
そんな話を聞いた翌日、私は名古屋に行きました。
ライブがあったので、リハをしていると、
どうもウチのマネージャーが困っている。
おだやかな性格で、あんまり困った顔をしないヒトなのですが、
確実にどうしよう、と困惑中。
(これはめずらしい)、と思ってると電話をかけ始めたので、
耳を澄ますと
「東京から名古屋に3箱のダンボールを送ったんだけど、
2つは着いているのですが、
大事な1箱がまだ到着してないのですが。
今、どの辺りにありますかね?」
と聞いていました。ライブで販売するグッズのようです。
「すみません。新入りのスタッフがまちがえて
埼玉に全部行ってしまった。
慌てて名古屋行のトラックに乗せたんだけど、
2箱乗せて、あとから1箱忘れた事に気がついた。」
とのことでした。
「ではいつ到着になりますかね?」と聞いたら
「明日ですね。」
今夜でないと物販ができないのですが、
物理的な問題なので仕方ありません。
念のため、マネージャーが「あのう、こういう場合って、
どうなっちゃうんでしょうか?」
と、保障とかの意味で聞いたらしいのですが、
相手の若い方は
「こういう場合って?」
と、スナオに聞き返されたそうです。
そのトーンには(ボクのミスじゃないっしょ?)
というニュアンスもあり、
(だ~か~ら~)と思ったそうですが、
もはや時間もなく、あきらめるという選択をしたのだそうでした。