HOME > 清水ミチコのシミズム > 清水ミチコの「シミズム」#17
全国ツアーとか言っちゃって、
今年の前半はライブをたくさんやりました。
ピアノのネタや、モノマネ、歌のパロディなど、
毎回中身をちょっとずつ変えたりしては進んでいくうちに、
どんどん楽しくなりました。
東京では日本青年館と渋谷公会堂での計5回公演。
たくさんの芸能人、芸人の皆さんが観に来てくださいました。
そんな中でも青木さやかさんは
「瀬戸内寂聴さんのネタがおかしい」
と言ってくれてたのですが。
その後日、なんと青木さんは仕事で、
たまたま瀬戸内先生ご本人にお会いして、
インタビューをする事になったのだそうです。
せまい世界でございます。
なんでも始めは人生相談などをしてた青木さん。
ふと途中、瀬戸内先生が
青木さんのメモ書きしてたノートに目を止められ、
「あら、そこに書いてあるのは何?」
とお聞きになったそうです。
書いてあった中身とは『勇気があったらしてみたい質問』。
そこで青木さんは、思い切って
メモの文字を口にしたんだそうです。
「清水ミチコさんにモノマネされてる事をどう思いますか?」。
スリル。
するとどうでしょう。
先生は軽やかにお笑いになり、
「人生の悩みより、そういう質問の方がいいじゃない。」
とあのスマイルでおっしゃったのだそうです。
私の業も笑顔で浄化。
なんという懐の深さでありましょう。
ところで、モノマネする側、される側の
両者が会った時の話というのは枚挙にいとまがありません。
常に加害者的立場の私、毎度恐縮、
全くもって心臓に悪い職業なのです。
三年くらい前、楽屋で小田和正さんと初めてお会いしたときのこと。
小田さんは偉大なミュージシャンでありながら、
クールな皮肉屋でもあられるようで、
「どうも、初めまして」
とまじめに挨拶した私に、なんと
「キミ、僕のモノマネしないでね。」
と先制攻撃。
ウケました。
まだしてないのに。
新しいパターンです。
まずは止める。初対面で。
えらいもんで、確かに私の中のやる気が失せました。
業務妨害とはこの事を言うのでした。