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清水ミチコのシミズム

たいがい、人はこう思っています。
「今の若いやつは」。
なんとなくパサついてて、人情というものが希薄。
合理的とは聞こえがいいものの、
たいがいが個人主義で、人との付き合いが苦手。と。
ところがこれは、最近になってよく聞く言葉ではなく、
実は私の世代ですら言われていた言葉なのです。
つまり、ずーっと消えてなくならないこの感慨はどうやら、
自分より世代が若いと感じるだけで=情のないヤツ、
と思えてしまうのが理由のようです。
しかし、ふと「NHKのど自慢」なんかを見たときなど、
その若い高校生などの垢抜けなさや純粋さ、
無邪気さにハッと胸をつかれてしまいます。
あれ、まだいるじゃん。ものすごくいるわ。
なつかしいこの感じ。かつての自分。
奇抜でとんがってる人物像しかニュースにならないだけで、
もしかしたら人間はそんなに変わっていないんじゃ?
とも思えてくるのです。
ところで先日、番組でテツandトモさんとご一緒しました。
いつまでも若手みたいな風貌なのに、クールな感じはしない彼ら。
テツさんに「どういう音楽聴いてるの?」と聞いてみました。
お笑い芸人には音楽好きが案外多く、洋楽やHIPHOPなど、
びっくりするような豊富な知識があったりして感心するのですが、
彼の答えには笑ってしまいました。

「五木ひろしですかね。」

私の爆笑的な笑い方が、彼を傷つけてしまったのかわかりませんが、
すぐこう続けました。
「でもでも、ポップスも好きでちゃんと聴きますよ!」
「誰よ。」
「安全地帯とか。」
私のさらなる爆笑など気にも止めず、
安全地帯がいかにいいか、うんちくが始まっていたのでした。