HOME > 清水ミチコのシミズム > 清水ミチコの「シミズム」#07
エレベーターを降りるのが自分一人だけという時、
私はサッと「閉」ボタンを押して出ています。
エレベーター内に残っている人を少しでもお待たせしない、
というその行為を見て以来、私もマネしてるわけなのですが。
ふと自分の背中にドヤ顔が出てないか気をつけています。
しかし、このややせっかちな私の行為とは逆に、
最近はエレベーターから出るとき、隣の人からサッと手を出され、
「どうぞ(お先に)」、と言われる機会が増えてきました。
えらい丁寧な…。何もそこまで…。
と思ったのですが、
この業界なんかではもう当たり前になっているかのようです。
エラい人から優先的に降りていただく、というしくみ。
先日、私が後方にいた時のこと。
ドアの前にプロデューサーとタレントさんがいて、降りしな、
「どうぞ」
「いやいや、どうぞ」を、
お互いにやりあっていました。
この場合どっちが偉いのかしら?
番組制作者であるプロデューサーか。
それとも番組の「顔」であるタレントか。
結局は、まわりの(サッサと降りろよ)という
空気を察したタレントさんが、若干逃げるように降りて行ったのですが。
なかなかタイヘンな時代ですなあ。
そんな事を思ってた矢先、ある番組収録終わ
りに乗ったエレベーターで、
左隣にいた若いタレントさんが、私にやはり(どうぞ)をされました。
サッサと降りなきゃ自分、と思ったまではいいのですが、
一歩エレベーターを出てから「あっ」と気がつきました。
なんと、私の右側に、
私より年配のビッグな方がいらっしゃったのが一瞬見えたのです。
(まずい。)咄嗟に機転を利かせた私は、こんな行動に出ました。
エレベーターをいったん出て、そしてすぐにエレベーターの横にまわって、
まるで旅館のおかみさんのように並んでの
「どうぞ」。
ニッコリ。
まるで、あなたよりあえて先に降りてまで、
お待ちいたしておりました風。
私はいったい何をしているのでしょう。