HOME > 清水ミチコのシミズム > 清水ミチコの「シミズム」#05
大阪で、あるミュージシャン映画の撮影がありました。
とても好きな人が主人公の作品だったので嬉しかったです。
早朝の大阪ロケなので、前日の晩に入り、
お好み焼きやデザート系もすこぶるおいしく堪能しました。
食い倒れの街とは、本当に的を射た言葉ですね。
撮影が終わると、私と入れ替えに憂歌団の木村充輝さんの撮影に。
10年くらい前に一緒に飲んだことがあるのですが、
覚えているかどうか、私も彼もかなり酔っ払ってたので、
「覚えてますか?」と言うと
「当たり前やがな」と、
短くもステキなお返事。
いつかテレビで観た、木村さんの
「見上げてごらん夜の星を」の歌がとてもよかったので、
「木村さん、こないだの、見上げてごらん、」と言いかけ、
ふと木村さんを見ると、つい〜っと上を見上げていました。
「空を見上げてみなさいって、
今急に言うわけないでしょ!」でした。
笑いました。
本当に、関西の方の言語察知的アドリブ能力には、
心底うならされます。基礎が違う、ヨミが違う、早さが違う。
さて、撮影全体は、通天閣前にある
「新世界」という場所だったのですが、
この街のカジュアルさと言ったら、他に類を見ません。
まだデビューもしてなかったころ。
友達と新世界を歩いてたら、なかなか疲れてるカンジの、
ふやけた顔の紳士が、いきなり私にこう切り出しました。
「姉ちゃん、パスポート持ってまんの?」
あまりに驚いた私は、
「は、はい!持ってます!」と、瞬時に大声で答えました。
するとその男はなんとこう言ったのです。
「じゃ、俺と結婚しよか」。
こんなにビビったことはありませんでした。
人生初のプロポーズは、初対面の人。
本当に新世界な話です。
今だから笑いにもなってる話ですが、
彼はいったい、何目的だったのか。
これはいまだに計り知れません。