HOME > 清水ミチコのシミズム > 清水ミチコの「シミズム」#02
2年ほど前のこと、映画館で
「GOEMON」(主演・江口洋介)を観ました。
とても痛快だったのと、ガレッジセールのゴリさんが
とても活躍してたので、(へえ)とびっくりしつつも、
(いつか誉めなくては!)と思ってました。
しかし、いざゴリさんに会えば、なんだかほかの話題で盛り上がったり、
すぐに本番になっちゃったりで、ついつい忘れがちに。
こういうことってよくありませんか?
時がたち、「GOEMON」はテレビでもオンエアされ、
気が付けばもう2年が過ぎようとしてました。
言おうと思ってた言葉も、すでに忘却の彼方へ。
しかし、数日前のこと。
夜、テレビで「カムイ外伝」をやってて、
(ふーん、時代物の映画かあ)と思ったとたん、
つながってた記憶の糸がほどけるように、
私はそのことを思い出したのです。
おおげさですけど。
(時代物と言ったら、あの話!
しかも明日は仕事でゴリさんに会うじゃないの、
ああ間に合った。遅くなったけど、今度こそ言ったろ。)
そして翌日。
「おはよーございまあーす!!」
メイク室にゴリさんの明るい声がしました。
私は振り返りながら挨拶もせず、こう叫びました。
「ゴリ、カムイ外伝、観たよ!」
ああ達成感・到来!
「…ボクなら出てませんけど。」
なんという失態でしょう。
タイトルを間違えてしまいました。
しかし、ここであやまるのも芸がないと思い、
とっさにこう言い切ってみました。
「もちろん知ってるよ。
私はただ、カムイ外伝を観たよ、って話をしたんじゃん。」
「朝からですか。しかも今ごろですか。」
と、ニヤニヤ。メイク室みんなニヤニヤ。
タイミングの悪さ、タイトルのミス、逃げ足の悪さの三つ巴に、
おのずとからまっていった瞬間でした。