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vol.78「山姥白頭」
山姥と人間の交わりを説く重圧で迫力に満ちた傑作「山姥」。旅の遊女一行の前に現れた山姥は、真の山巡りの様を舞い、仏法の摂理を説いていきます。「白頭」の小書きが付くことで、世界観をより壮大に描きます。
【物語】都に、百万山姥(ひゃくまやまんば)と呼ばれる遊女がいました。山姥が山巡りする様子を演じる曲舞(くせまい)を得意としたことが、その異名の由来です。彼女は善光寺参詣のため、従者を連れて旅に出ます。途中、越中・越後の国境にある境川まで来ましたが、急に日が暮れて先に進めなくなってしまいます。そこにひとりの女が現れ、宿を貸そうと言って自分の庵へと案内します。女は、自分こそ山姥であると明かし、山姥の曲舞を聞かせてほしいと頼みます。日を暮れさせて自分の庵に招いたのも、そのためだと言うのです。そして、ここで山姥の曲舞を一節謡ってくれれば本当の山姥の姿を見せようと告げ、消え失せました。夜が更け百万山姥が舞曲を奏でて待っていると、真の山姥が異形の姿で現れます。深山に暮らす山姥の境涯を物語り、真の山巡りする様を舞ううちに、いずこともなく去っていくのでした。
