HOME > ドラマチック!OH!能 > vol.77「小鍛冶」

ドラマチック!OH!能

平安時代に作られたとされる名剣・小狐丸にまつわる物語を描いた人気曲、能「小鍛冶」。稲荷明神の化身・霊狐の相槌で小鍛冶宗近が刀を打つ鍛冶場の場面など、見どころ満載です。


Ⓒ青木信二

【物語】夢のお告げを受けた一条天皇は勅使を遣わし、刀匠・小鍛冶宗近に剣の新造を命じます。宗近は、優れた相鎚を打つ者がいないと返事を渋りますが聞き入れられず、助けを求めようと稲荷明神に参詣しました。すると不思議なたたずまいの童子が現れ、声をかけてきます。中国の故事や日本武尊の草薙剣の物語りをして、宗近を励ます童子。さらには自分が相鎚を勤めることを約束し、消えていきました。自宅に戻り、鍛冶壇を築いて神に祈りを捧げる宗近。すると、稲荷明神の霊狐が現れて「相鎚を勤める」と言います。その霊狐は、先ほどの童子。稲荷明神の化身だったのです。こうして神の助けを得た宗近は無事に剣を打ち上げ、完成したのが小狐丸。表に「小鍛冶宗近」の銘、裏には「小狐」の銘が刻まれた名剣です。霊狐は小狐丸を勅使に捧げると、雲に乗り稲荷山へと帰っていくのでした。