HOME > ドラマチック!OH!能 > vol.76「大会(だいえ)」

ドラマチック!OH!能

僧に命を助けられた天狗の恩返しの物語。「大会」とは、釈迦が霊鷲山(りょうじゅせん)でおこなった説法のこと。その荘厳な世界を表現するのびやかな謡、釈迦から天狗への早変わりなどが見どころです。豊田市能楽堂「冬月能」は、デーモン閣下による朗読「大会」も必聴!


Ⓒ国東薫

【物語】ある日、鳶に化けた天狗が柿の木から落ちたところを子どもたちに捕らえられ、いじめられてしまいます。そこに通りがかった比叡山の僧正は、子どもたちに「殺生をしてはならない」と説き、鳶の命を救うのでした。後日、僧正のもとを山伏が訪ねてきます。助けてもらった御礼に望みを叶えようと言うのです。そこで、釈迦の霊鷲山での説法の様子(大会)を見たいと願う僧正。山伏は引き受けますが、「幻術だから、決して信心を起こしてはならない」と念を押して姿を消します。この山伏こそが、先日助けた天狗。釈迦の姿で再び現れて説法の様子を見せると、僧正はその荘厳な雰囲気とありがたさに涙し、思わず手を合わせてしまいます。すると、どこからともなく帝釈天が現れて、僧正を騙した天狗を懲らしめます。幻術を失った天狗は、洞窟へと逃げ去るのでした。