HOME > ドラマチック!OH!能 > vol.67「望月」
「望月」は仇討ちをテーマにした作品で、仇討ちを果たすまでの劇的な展開と、敵を油断させるために見せる語り(謡)・鞨鼓(かっこ)の舞・獅子舞といった芸尽くしが見どころです。特に獅子舞は「石橋」「望月」「内外詣」の三曲にしか無く、口元を赤い布で覆い隠し、赤い毛に金色の扇を二枚重ねて獅子の頭に見立てた被り物をつけて舞う、大変珍しい演出です。
【物語】近信濃国に住む安田友治の子、花若とその母が近江国守山の宿・甲屋に辿り着きます。安田は同国の望月秋長に殺害され、花若親子は望月の追手から逃れるため放浪の旅をしていました。甲屋の主人は二人を見て驚きます。主人は安田に仕えていた家臣、小沢友房でした。偶然の再会を喜ぶ三人。そこへ、都から信濃へ帰る途中の望月が甲屋を訪れます。この機会に敵を討たせてやりたいと、小沢はある計画を思いつきます。小沢は酒を持って望月に近づき、花若親子は盲目の芸人一行に変装して酒宴に入り込みます。花若の母は父の敵を討ったことで有名な曽我兄弟の幼少時の逸話を謡い、花若は羯鼓を打って舞います。小沢は望月から所望されて、獅子舞を舞います。そして、望月が酒に酔い眠り込んでしまうと、小沢と花若は変装を解いて飛びかかり、仇討ちを果たすのでした。