HOME > ドラマチック!OH!能 > vol.57 新作能「伽羅沙」
戦国の世に翻弄されながらも、武家の価値観とキリスト教の理念を全うして恐れずに死を迎える。新作能「伽羅沙」ではそのガラシャの人物像を表現する方法として、パイプオルガンの演奏を取り入れています。西洋と日本の音がいかに響き合うのか、人がいかにして生き死んでいくのかのテーマと共にご鑑賞下さい。
武家の価値観とキリスト教の理想を全うし、死を迎えたガラシャその霊は何を語り、舞うのか
【物語】能「伽羅沙」は、夫・細川忠興が禁教であるキリスト教会でミサを行う場面から始まる。参列していたキリシタン大名・高山右近の前に、ガラシャの介錯をし、自身も自害した小笠原少斎の霊が現れ、神は何故奇跡を起こし、ガラシャを救わなかったのかと、信仰の無情に怒りをぶつけて消える。
高山右近に求められ、細川家の侍従がガラシャの厚い信仰心を語って去る。一人佇む右近のもとに、ガラシャの霊が現れ、信仰により自らが苦しみから救われ、非業の死を遂げた父の魂も又、救われたと語る。そして死によって得た永遠の生命を喜び、静かに舞い消えてゆきます。
“散りぬべき時知りてこそ 世の中の 花も花なれ 人も人なれ”
〈ガラシャ辞世の句〉