HOME > ドラマチック!OH!能 > vol.24「羽衣 和合の舞」
昔話でもおなじみの羽衣伝説をもとにした能です。昔話では、天女は羽衣を隠されてしまい人間の妻になるのですが、能での漁師白龍は人が好く、羽衣を天女に返し代わりに舞を見せてもらいます。そしてこの天女の舞が一番の見所です。穏やかな春の海に美しい天女の舞い、そして遠くには富士山。幸せな気持ちにさせてくれる曲です。
【物語】穏やかな春の朝、三保の松原の漁師である白龍(はくりょう)は仲間と釣りに出かけます。すると、松の枝に掛かった美しい衣を見つけ、それを家宝にするため持ち帰ろうとします。そこに天女が現れて白龍に声をかけ、その羽衣を返して欲しいと頼みます。白龍は、はじめ聞き入れず返そうとしませんでしたが、「それがないと、天に帰れない。」と悲しむ天女の姿に心を動かされます。そして、天女の舞を見せてもらう代わりに、衣を返すことにするのです。羽衣を着た天女は、月宮の様子を表す舞いなどを見せ、さらには春の三保の松原を賛美しながら舞い続け、やがて彼方の富士山へ舞い上がり、霞にまぎれて消えていきました。