HOME > ドラマチック!OH!能 > vol.10「猩々乱」
演目「猩々」(しょうじょう)の曲中でシテが舞う中之舞を、乱(みだれ)という舞に変えて演じると、「猩々乱」と記されます。海の怪物「猩々」が酒を飲み真っ赤な顔で喜びの舞を舞う有様が見どころ。祝言の趣を持った曲です。
【物語】中国のかね金山(きんざん)の麓、揚子(ようず)の里に、高風(こうふう)という親孝行な男が住んでいました。高風はある日の夢のお告げに従って、揚子の市で酒を売り出すとだんだんと金持ちになっていきました。いつも高風から酒を買い求めて飲む者に、いくら酒を飲んでも顔色の変わることのない不思議な者がいました。不思議に思い名を尋ねると海中に棲む猩々(しょうじょう)だと名乗りました。ある日高風は、酒を持って潯陽の江へ猩々に会いに行くと、そこへ赤い顔の猩々が現われます。猩々は友の高風に逢えた喜びを語り、酒を飲み、舞を舞います。そして今までの酒のお礼として、酌んでも尽きない酒が湧く壷を高風に贈りました。それは高風の夢の中での出来事でしたが、酒壷はそのまま残り、高風の家は長く栄えたといいます。