HOME > ドラマチック!OH!能 > vol.8「土蜘」
「土蜘」のみどころは、シテが和紙でつくられた蜘蛛の糸を投げる場面。現在のように沢山の糸を投げる演出は、明治初期の金剛流家元、金剛唯一が始めたと言われます。白い蜘蛛の糸が放物線を描いて宙に浮く様は、ショー的要素が強く、見た目にも華やかです。
【物語】ある夜、病気で臥せる源頼光(みなもとのらいこう)のもとに、見知らぬ法師が現れ、病状はどうかと尋ねます。不審に思った頼光が法師に名を聞くと、「わが背子(せこ)が来(く)べき宵なりささがにの」と『古今集』の歌を口ずさみつつ近付いてきます。見るとその姿は蜘蛛の化け物。沢山の糸を頼光に繰り出しますが、頼光は源家相伝の名刀、膝丸(ひざまる)で斬りつけました。すると、法師は姿を消してしまいます。そこに頼光の侍臣独武者(ひとりむしゃ)らが駆けつけます。頼光はいきさつを語り、名刀膝丸を「蜘蛛切(くもきり)」に改めると告げ、その土蜘を成敗するよう独武者に命じます。独武者が土蜘の血をたどると古塚が現れ、そこから土蜘の精が現れます。土蜘は糸を投げかけて独武者たちをてこずらせますが、なんとか独武者は退治するのでした。