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ドラマチック!OH!能

揺れる女心が招いた悲劇。最後にたどりついたのは…。とてもドラマチックで、惹き付けられる物語です。


【物語】ふたりの男に同時に思いを寄せられ、どちらか選びかねた菟内日処女(うないおとめ)は、生田川の鴛鴦(おしどり)を射た方を選ぶと言います。しかし男たちの矢は同時に当たってしまうのです。むやみに鴛鴦を犠牲にしながら心を決めかねている己の罪深さに悩み、処女(おとめ)は川に身を投じます。それを知った男たちもまた、互いに刺し違えて死んでしまいました。処女の魂は成仏できずに、塚の周りの闇を彷徨います。主人公は旅の僧で、彼の前にまず里の女の姿で処女の亡霊が現われます。そして求塚の謂れを告げ、僧に※回向(えこう)を頼み消えてゆきます。後半は塚の中から亡霊となった処女が現われ、僧は経を唱えて成仏を促します。処女は地獄での悲惨なありさまを見せ助けを求めますが、僧の力でも成仏出来ず、処女は闇のなか求塚へ姿を消してゆきます。 優柔不断ながら最後に死を選ぶ菟内日処女、その死を追いかけるふたりの男、死に切れず亡霊となって彷徨う処女。死んでまでも救われない話でありながら、惹き付けられるのは、やはり「能」の荘厳さがなせるわざなのでしょうか?「求塚」というのは、探し求めたどり着いた場所、ということなのですが、そこに何が待っていたかを思うと…。
※回向=供養