全ての常識を飛び超える、革新的ファッションデザイナー ジャンポール・ゴルチエの人生が、史上初のランウェイ・ミュージカルになった『ジャンポール・ゴルチエ ファッション・フリーク・ショー』が、大好評だった東京公演に引き続き、大阪フェスティバルホールで6月7日(水)~6月11日(日)まで公演中。
存在自体がスキャンダラスでPOPな、愛すべき怪物である、彼の集大成とも言えるフリーク(怪物)ショー大阪公演初日に駆けつけた。多くのミュージカル公演が二幕制であるように、本公演も途中で休憩の入る二幕構成。ファッションデザイナーを目指すきっかけになった、大好きなおばあちゃんにもらった、熊のぬいぐるみナナちゃんの手術シーン映像から始まる一幕目は、お茶目な問題児だった幼少期から、一生涯の恋人との出会いを経て、初期衝動に溢れた彼のパンク・スピリットを感じる初期のランウェイ・ショーを再現。パリの伝説的ダンスクラブ"パレス"から始まる二幕目は、恋人との死別を乗り越え、マドンナとのコラボレーションを始め、伝説的ランウェイ・ショーの再現大連発を経て、感動のフィナーレに。演出面では、ゴルチエの衣装を纏った、客席まで飛び出してくるダンサー達の名演と共に、ステージを縦横無尽に移動する、縦長の巨大LEDパネルを贅沢に使用した映像効果が、自伝映画を観ているようなクオリティのドラマとランウェイの華やかさを演出。カトリーヌ・ドヌーブやロッキー・ホラー・ショーまで飛び出す、使用される映像や音楽も、正に"ゴルチエの脳内"ともいえる怪物揃い。
ダフト・パンクとの競作も有名なナイル・ロジャース等、基本的にはノリのイイ、ファンキーなダンスミュージックが多いのですが、印象に残ったのは、マリリン・マンソンによるカバー曲とユーリズミックスのオリジナル曲が連続で鳴る"スウィート・ドリームス(アー・メイド・オブ・ディス)"。とにかく派手で、きらびやかなイメージのある、ゴルチエの表現の裏にあるダークさを象徴していて興味深かった。常識の境界を破壊する、スキャンダラスな表現を今も続けるマドンナとのコラボレーションや、当時アンダーグラウンドカルチャーで流行りつつあった、ラバーを使ったSM拘束着"ボンデージ・ファッション"をいち早く取り入れたり、常に世の裏側に潜む、爪はじきな"怪物"を創作の中心に置いてきたゴルチエ。今だったら炎上して世間に潰されそうな際どい表現なのですが、案外社会問題に発展するようなスキャンダルはほぼ無い。昭和というおおらかな時代背景もあるのでしょうが、幼少期のお茶目さがそのまま大人になったような、造った砂のお城を、無邪気に笑いながら破壊するチャーミングさが彼の表現のキモだったのでは?と思わす、オモチャ箱をひっくり返したようなランウェイ・ミュージカルだった。やっぱり怪物でいい、常識なんて全然面白く無いから。
◎Text/UE神
Jean Paul GAULTIER’S FASHION FREAK SHOW
6/7WEDNESDAY~6/11SUNDAY
■会場/大阪フェスティバルホール
■料金(税込)/VIP(特典付き) ¥28,000円 S ¥12,000円 A ¥7,000円
※一部チケット完売
※性的な描写を含むシーンがございます。
※ご購入後の返金・クレーム及びお席の振替は一切お受けできません。予めご了承ください。
■お問合せ/キョードーインフォメーション TEL 0570-200-8888(10:00~18:00)
ジャンポール・ゴルチエ ファッション・フリーク・ショー
https://fashionfreakshow.jp/
2023年05月16日 <会見レポート!> 浅田真央の想いと覚悟の詰まった大反響のアイスショー、再び愛知に!
昨年9月から全国ツアー中の浅田真央アイスショー「BEYOND」が再び、彼女の故郷・愛知にやってくる。今度の開催地は長久手。愛・地球博記念公園のアイススケート場は慣れ親しんだリンクだけに、「ただいま!」の気持ちもひとしお。名古屋市内で行われた会見もアットホームな空気に包まれた。
会見冒頭、まずは浅田自身が「BEYOND」について説明する。
「アイスショーをゼロから作るのは2回目で、やるからには前回を越えたいという強い覚悟を持って始めました。タイトルの『BEYOND』には『乗り越える』という意味があり、私自身いろんなことを乗り越え、進化していきたいという想いをこめました。コロナ禍で日々を生きる皆様の力になれるよう滑りたいですし、一緒に乗り越えていこうというメッセージもこめています」
浅田を含め11人のスケーターが90分間ノンストップで滑るのは大きな見どころ。リンク上にはスクリーンが設置され、フィギュアスケートと映像の融合も楽しめる。演目に合わせて背景がガラリと変わり、時にスケーターが映像から出てくるなど趣向満載だ。演目は選手時代に使用した曲から厳選しており、名演技を思い返しながら進化した現在を見られるのも嬉しい。そして浅田は今回、ペアプログラムにも挑戦している。
「ペアに挑戦して、スケートの幅が広がったかなとは思います。シングルスケーターは、演目によってはストーリーの表現が難しい部分もありますが、パートナーがいることで伝わりやすくなったのではないかと。ただ、初めはリフトとか怖かったです。放り投げられたりクルクル回されたりするので、自分で飛び上がるのとは感覚的に違いますし、目も回りました(苦笑)」
選手時代と違う点には衣装もある。競技では着られない丈の長いものやパンツスタイルなどデザイン豊富で、衣装だけでも楽しめるほど工夫を凝らした。3名の衣装家と浅田自身が相談しながら製作された衣装は、スケーター全員で100着以上! 着替えを想像するだけでハードそうだ。思えば選手時代より滑っている時間が圧倒的に長く、健康管理にも違った苦労がある。彼女を奮い立たせる原動力は何なのか。
「選手時代と比べて気持ちに変わりはないんですけど、自分のスケートリンク(MAO RINK)を作ることも発表して、スケートに対する覚悟、スケートに恩返ししたいという想いがとても強くなりました。また、エンタテインメントとしてフィギュアスケートを届ける立場になり、お客様に楽しんでもらいたいという想いも強くなった。私たちのアイスショーを見て、どれだけ満足してもらえるのか。楽しく滑ってはいますが、いちばん大事なのはお客様という考え方に変化したところはありますね」
「私たちは全国100公演くらい行いますが、お客様にとっては人生一度のアイスショーかもしれないので、どの回も130%全力でのぞみたい」とも語った浅田。100%も120%も越えて130%というのが彼女らしい。ただ、名古屋出身ゆえに愛知公演には特別な感情があるのも本音。「自分自身に『ただいま!』という気持ちがあるので、お客様の拍手も『おかえり!』と返してくださっているような温かいものを感じます」と笑う。なお、ショーは常に改善されていて、昨年12月の豊橋公演から進化した「BEYOND」を見られるそうだ。
時間ができると舞台やライブに出掛け、いろんなエンタテインメントから刺激やヒントを得ているという。最近見たものを尋ねると「ずっと浜崎あゆみさんが好きだったので、先日行われた25周年ライブはすごくパワーをいただきました」との答え。さまざまな養分を吸収する浅田の進化が止まらない。
◎Interview&Text/小島祐未子
6/10 SATURDAY 6/11 SUNDAY
浅田真央アイスショー「BEYOND」
■会場/愛・地球博記念公園(モリコロパーク)アイススケート場
■開演/11:30/16:30
■料金(税込)/アリーナSS席 ¥12,000 (全公演完売) アリーナS席¥ 10,000 スタンド席 ¥7,000 車いす席(スタンド席) ¥7,000(公演事務局の電話受付のみ) ※付き添いも同額(1名まで)
■お問合せ/公演事務局 TEL 0570-02-9983(10~17時)
アーティスト香取慎吾の個展「WHO AM I-SHINGO KATORI ART JAPAN TOUR-」が、グランフロント大阪 北館地下1階「ナレッジキャピタル イベントラボ」で開催中。
「小さい頃から絵を描くのが大好きで、いつの日か個展を開きたくてずっと描き続けてきました」という香取さん。初の個展は2018年フランス・パリでの「NAKAMA des ARTS」翌年に東京で開催した「BOUM!BOUM!BOUM!香取慎吾NIPPON初個展」は18万人以上を動員した。関西では初のとなる3年ぶりの個展に注目が集まる。
「光」と「闇」に分けられたキュレーションは約200点の作品を展示。個展の見どころについて、「光はもちろん居心地が良いけど、闇の部分も案外嫌いじゃなかったりします。その闇の部分にいる時間に自分がリフレッシュできて、また光に向かっていける」さらに、「なんか闇な部分って皆さんあるじゃないですか、やっぱりどこか上向いていられない時間とか、でもその時間に自分が作られて、また明日に向かって、光に向かって立ち向かえるじゃないかな。だからこういうアートというか、個展を開かせてもらえて、この絵を描くというところで、香取慎吾の光や闇いろんな部分を見てもらえるんじゃないかと思います」と、話す香取さん。
自身の髪を素材として使った、うさぎをモチーフにした作品や、段ボールを使用した大型な絵など、表現力の豊かさが伺えるアート作品が並ぶ。また、渋谷慶一郎が担当したアンビエントな音楽が、より作品を際立たせる空間となっている。会場ではTシャツやぬいぐるみ、トートバッグなど21種類のオリジナルグッズも販売。
個展のタイトルにある『 WHO AM I 』について、「いろんな顔をもっている自分、常に変化している自分。ポジティブな 『 WHO AM I 』 もあれば、時には下を向いてしまう時間もあったり、その両面をこの個展を通じて、また僕の絵を通じて、僕の中身をもっと皆さんに知ってもらいたい」と話す香取さん。大阪は「おかえり!」と迎えてくれる場所と、本個展のスタートが大阪である事を嬉しいと、笑顔で語ってくれた。
◎Text/紅粉チコ
WHO AM I -SHINGO KATORI ART JAPAN TOUR-
■日程/開催中~2023年6月18日(日) ※会期中無休
■時間/平日 11:00~20:00(最終入場19:30)
土日祝日 10:00~19:00(最終入場18:30)
■会場/グランフロント大阪 北館 ナレッジキャピタル イベントラボ
■公式サイト/ http://www.whoamitour-osaka.jp/
■公式Twitter/ @whoami_tour
■個展に関するお問い合わせ
「WHO AM I -SHINGO KATORI ART JAPAN TOUR-」大阪事務局
TEL 0570-064-277 (11:00~18:00) ※日曜・祝日休業
2023年04月11日 <公演直前レポート!>グリーグ国際ピアノコンクールの覇者・髙木竜馬が奏でる至高のモーツァルト
人気と実力を併せ持ったピアニスト髙木竜馬が、日本センチュリー交響楽団の新シーズン最初の定期演奏会にジャンプイン!
―― 日本センチュリー交響楽団の、シーズン最初の定期演奏会に代役としてご出演されます。
初めて共演させていただきます。コロナ禍では、外国人の奏者が来日出来ないケースも多く、僕自身何度か代役で演奏させて頂いています。京都ではあのゲルハルト・オピッツさんの代役の経験もありますし、あまり誰の代役と言うのは考えずに、選んで頂いたのであれば、持てる力を最大限に発揮して、演奏させて頂こうと思っています。海外では代役の事をジャンプインと言います。新しい出会いを楽しむくらいの気持ちで、ジャンプインしていこうと思っています。
―― 指揮は、日本センチュリー交響楽団のミュージックアドバイザー秋山和慶さんです。
秋山先生と共演させていただけるということで、とても光栄です。秋山先生は若い演奏家とも数多く共演をされておられますので、ご一緒させていただけることを心より楽しみにしております。日本センチュリ一の事は周囲の先輩方からも聞いていて、ずっと憧れていたオーケストラです。今回、日本センチュリーから 代役の話しが来たと聞いて、飛び上がって喜びました。
―― 曲はモーツァルトのピアノ協奏曲第9番『ジュノム』です。
『ジュノム』を弾くのも初めてで、今回は何から何まで初めて尽くしです。初期の曲にもかかわらず、後期の曲に通じるしっかりとした構成の曲ですね。モーツァルトならではの可憐で優雅なパッセージも魅力的ですが、作曲当時、ザルツブルクからマンハイムに生活環境を変えて、新たな生活を始めようというモーツァルトの野心も感じる曲です。ジャンプインに相応しい曲だと思います(笑)。
―― 髙木さんと言えば「ピアノの森」の雨宮修平のピアノを弾かれていたことが話題になりました。放送が終わった後も、「ピアノの森」のコンサートツアーは全国を廻り、軒並みソールドアウトの人気だとか。雨宮修平と髙木さんのピアノ演奏は違うものですか。
TVアニメの吹き替えで演奏した時は、台本がちゃんと有って、感情に揺れ動く演奏なんかも要求されるので、完全に雨宮修平に成り切って弾きます。コンサートツアーでは、本来の自分に近いと思います。思い切った曲の解釈を試してみたり、本来の自分とは違うアプローチで攻めていますが、完全に別人になる事は出来ません(笑)。ショパンの名曲を弾いているので、リスペクトした素直な気持ちを前面に出した演奏を心掛けています。
―― 音楽の道で生きて行こうと思われたのはいつですか。
生まれた瞬間からそれが運命づけられていたように思います。母親はピアノの講師をしていましたし、父親はアマチュアですがヴァイオリンを弾いていました。家にはクラシックの楽譜やCDが溢れ、ピアノも複数台ありました。そんな環境だったこともあり、音楽以外の道は選択肢になかったです。今、ピアニストとして音楽の事をずっと考えていられることが、この上なく幸せです。
―― この春から京都市立芸術大学のピアノ専攻講師に就任されました。
教えることは、自分の経験を言語化するということで、自分自身の成長にも大きく繋がります。演奏活動や自分の練習も一生懸命に続けながら、私が今まで学んだことや経験したことを、生徒の皆様にお伝え出来るように、指導者としての責任をもって精一杯頑張りたいです。
―― 最後にファンの皆様にメッセージをお願いします。
憧れの日本センチュリー交響楽団の、大切なシーズン最初の定期演奏会で演奏させていただきます。しかも秋山先生の指揮で、ザ・シンフォニーホールのステージです。大変栄誉なことですが、その緊張感を力に変えて、皆さまに喜んで頂けるように頑張って演奏致します。お聴き頂けますと嬉しいです。皆様のご来場をお待ちしています。
◎Interview&Text/磯島浩彰
日本センチュリー交響楽団 第272回定期演奏会
指揮 秋山和慶
ピアノ 髙木竜馬
管弦楽 日本センチュリー交響楽団
■会場/ザ・シンフォニーホール
■日時/4月20日(木) 19:00 開演
・モーツァルト
ピアノ協奏曲 第9番 変ホ長調 K.271「ジュノム」
・ベートーヴェン(近衛秀麿 編曲)
交響曲 第3番 変ホ長調 作品55「英雄」
A席6,500円 B席5,000円 C席3,500円 ※D席完売
※未就学児のご入場はご遠慮ください。
※やむを得ない事情により、出演者、曲目等に変更が生じる場合がございます。
予めご了承くださいませ。
ご予約・お問合せ:センチュリー・チケットサービス
06-6848-3311(平日10:00~18:00)
https://www.century-orchestra.jp/ticket
主催:公益財団法人 日本センチュリー交響楽団
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(舞台芸術等総合支援事業(創造団体支援))
独立行政法人日本芸術文化振興会
公益財団法人 朝日新聞文化財団
2023年02月27日 <オフィシャルインタビュー公開!>ウィントン・マルサリスが3月にセプテットで来日ツアー開催!
数多くのグラミー賞を受賞し、現代最高のジャズ・トランペット・プレイヤーであるウィントン・マルサリスが、2023年3月に東京と大阪で、来日コンサートを開催。4年ぶりの来日に先駆けてインタビューを行った。
【オフィシャルインタビュー】
2019年5月のウィントン・マルサリスの来日公演には本当に驚き、感銘を覚えた。それは、これぞジャズという技巧と創造的野心が渦巻くものであったからだ。その実演は達者な奏者を擁する5人編成=クインテットでなされたが、ウィントンのお眼鏡にかなった腕利き奏者たちが一丸となった表現の聴き応えのあることと言ったなら。キレキレのアンサンブル部と雄弁なソロが渾然一体となって聴き手に押し寄せる醍醐味と快感は、まさに選ばれたジャズ・アーティストだけが送り出せるものだった。1980年初頭に鳴り物入りでデビューして以降、すっとジャズ界の前線に位置し、シーンをリードしてきた実力と矜持が、そこには横溢。彼は名実ともに、ジャズ・セレブであることをまっとうしていた。一行は綺麗にスーツを着こなし、その佇まいもまた良し。気品、そしてその奥に渦巻く獰猛とも言える即興精神発露のあり方に、ジャズの凄さを実感するのはあまりに容易だった。
そして、うれしかったのは、そんなウィントンの久しぶりの演奏に触れた観客の歓声だった。それはまさに、ずっと彼のコンサートを待ち望み、その期待を超える熱演を受けて熱い反応が湧き上がるというもの。それを受けてウィントン自身も、自分は日本のファンから公演を待ち望まれてきたと実感できたのではなかったか。
「この前の日本でのコンサートは、とても良い雰囲気に包まれ、昔から知っている多くの素晴らしいミュージシャンにも会えました。日本の人々や文化にはいつも深い親近感を抱きます。日本で演奏することができ、また日本の皆さんと強い関係を持てることは常に光栄に思います」(引用する発言は、昨年12月にメールで取ったものだ)
ところで、前回の公演を見て痛感させられたのはずっと第一線を歩んできた彼がまったく疲弊することなく、今のアコースティック・ジャズをアグレッシヴに創造していたことだ。かような、唯一無二の精力的な活動を支えているものはなんなのだろう。
「両親や兄弟と常に音楽に囲まれて育ったことですね。また、ニューオーリンズの偉大な音楽の伝統、ディジー・ガレスピーやジェリー・マリガンなどの巨匠たちやマーカス・ロバーツやカルロス・エンリケスなどの同世代のアーティスト、さらにはジョー・ブロックやショーン・メイソン(ともにピアノ)などのまだあまり知られていない若手まで多くの素晴らしいジャズ・ミュージシャンと演奏する機会を得ていることなどが挙げられます。また、ジャズ・アット・リンカーン・センター(ウィントンが音楽監督を務めるニューヨークの総合的なジャズ機構/施設)や世界各国/各界のジャズ愛好家から多大なる支援を長年に渡って受け続けられていることも、今の私を導き支えてくれています」
ときに、Covid-19のパンデミックはすべての人に大きな陰を投げかけた。ウィントンも、それは例外ではない。彼はニューオーリンズのジャズ表現/教育の第一人者として名高い父親のエリス・マルサリスを、新型コロナで2020年に失ってもいる。
「もちろん、パンデミックは個人的にも大きな喪失でした。しかしながら、ジャズという音楽の重要性やジャズの癒しの力を新たに確認することもできました。今後はより高いレベルに到達するために、私は邁進しますよ」
さて、今回のウィントンの来日公演は、クインテットによる前回のコンサートからさらに奏者を加えた7人編成=セプテットで行われる。「今回はセプテットで訪れる予定です。ニューオーリンズの音楽からコンテンポラリー・ジャズまでいろんな演奏ができるので、気に入っている編成なんです」と、彼はそのセプテットを説明する。
そのメンバーは前回の来日公演にも加わったジャズ・アット・リンカーン・センター・オーケストラの中枢にいるピアノのダン・ニマーとダブル・ベースのカルロス・エンリケスにくわえ、渡辺貞夫や渡辺香津美の公演で来日したこともある辣腕ドラマーのオベド・カルヴェールが同行。そして、ウィントンとともにフロントをなす管楽器奏者はテナー・サックスのアブディアス・アルメンテロスとトロンボーンのクリス・クレンショー、そしてアルト・サックス奏者のクリス・ルイスという選ばれた精鋭だ。
「とても優秀なメンバーをバンドに揃えています。私が作った『The Democracy! Suite』を演奏する予定です。他にもいろいろな曲を演奏しますし、私もとても楽しみでしょうがありません」
ウィントンが具体的に名前を出した『The Democracy! Suite』(Blue Engine、2020年)はジャズ・アット・リンカーン・センター・セプテット名義で録音したアルバムで、リズム・セクションは来日メンバーと同一だ。コロナ禍のなかじっくり作られた楽曲が収められており、その表題にあるように民主主義を尊重し希望を託した、力強く陽性にスウィングする一作だ。
真摯に現況を見据え、大志とともにジャズの力を謳歌する。そして、そこにはニューオーリンズ・ジャズ期から脈々と積み重ねられてきた豊穣な伝統と今を呼吸する清新さのマジカルな交錯が横たわる。そうした内実をウィントン・マルサリスは様々な角度や作法で提示し、ジャズのあるべき姿やその本質を鮮やかに見せてくれるはずだ。
●ウィントン・マルサリス(トランペット) プロフィール
1961年、ジャズ発祥の地であるルイジアナ州ニューオーリンズに生まれる。父親はジャズ教育にも力を注いだ同地のゴッドファーザー的存在であるピアニストのエリス・マルサリス。サックス奏者の兄ブランフォードをはじめ兄弟たちもジャズの道に進むという音楽一家に育ち、ウィントンはジュリアード音楽院在学中に大御所アート・ブレイキーのバンドに抜擢された。そして、弱冠19歳で『ウィントン・マルサリスの肖像』でデビューし、以後クラシックの作品も含め80作近いアルバムを発表し、グラミー賞も多部門にわたり獲得している。1996年にはNYの芸術総合施設であるリンカーン・センターのジャズ部門の芸術監督に就任し、その活動はより多彩かつ活発となり、また20世紀最良の米国音楽様式であるジャズを大局的見地のもと扱うようになった。そんな彼は現在米国ジャズ界の際たる実力者であり、セレブリティであるのは疑いがない。
ウィントン・マルサリス・セプテット in Japan 2023
〈東京・新宿文化センター 大ホール〉
日時:2023年3月23日(木) 18:30開演 / 17:30開場 ※小曽根真、中村健吾ゲスト出演
2023年3月24日(金) 18:30開演 / 17:30開場
料金:SS席 18,000円/ S席 12,000円/ A席 8,000円/ B席 6,000円/ U-20 3,000円
〈東京・サントリーホール〉
日時:2023年3月25日(土) 15:00開演 / 14:00開場
料金:SS席 18,000円/ S席 12,000円/ A席 8,000円/ P席 8,000円/ B席 6,000円/ U-20 3,000円
〈大阪・フェスティバルホール〉
日時:2023年3月27日(月) 19:00開演 / 18:00開場
料金:SS席 17,000円/ S席 11,000円/ A席 7,000円/ B席 5,000円/ U-20 3,000円
※出演者情報、チケット情報などは公式サイトをご確認ください。
【主催・制作・招聘】サンライズプロモーション東京
【お問合せ】サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(平日12:00-15:00)
【公式ページ】wynton-marsalis-japan.srptokyo.com
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