HOME > MEGLOG【編集日記】 > <会見レポート!>松竹歌舞伎舞踊公演で3年ぶりの全国巡業。四日市は7/14(木)に開催!

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6月30日から全国で24公演が行われる「松竹歌舞伎舞踊公演」の取材会が都内で開かれ、出演する中村芝翫を始め、中村橋之助(長男)、中村福之助(次男)、中村歌之助(三男)の親子4人が揃って登壇した。2019年8月、9月に行われた「松竹大歌舞伎」西コース以来、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため公演中止が相次ぎ、3年振りとなる今回の巡業公演では「松竹歌舞伎舞踊公演」と題し『操り三番叟』と『連獅子』の舞踊2題を上演する。



『操り三番叟』は、糸操りの人形が三番叟を踊るという趣向による作品で、嘉永6(1853)年2月の江戸河原崎座で初演。糸操りの人形が踊っているように見せるのが演じ手のしどころであり、人形を操る後見との息のあった振り事が大きな見どころとなっている。今回は中村橋之助と中村福之助によるダブルキャストで、7月14日の四日市市文化会館・公演では橋之助が「三番叟」を福之助が「後見」を演じる。『連獅子』は能の『石橋』をもとに、獅子が我が子を千尋(せんじん)の谷に落としてこの試練を乗り越えた子のみを育てるという伝説をふまえてつくられた人気舞踊。作者は河竹黙阿弥で、明治5(1872)年7月に東京村山座で初演されたもの。親子の獅子の試練と情愛を描いた前半の狂言師の踊り、それぞれの宗派の尊さを論じる間狂言の「宗論」、後半の勇壮な獅子の精の狂いと、見どころが多い作品となっている。今回は狂言師右近 後に親獅子の精 を中村芝翫、狂言師左近 後に仔獅子の精 を中村歌之助と親子で演じ、僧蓮念が中村橋之助と中村福之助によるダブルキャスト(四日市市文化会館・公演では福之助)で僧遍念を中村松江が務める。


中村芝翫

――それぞれの意気込み
【中村芝翫】「3年振りの巡業。息子たちと舞台の上で一緒に過ごす時間もずっとなかったが、今回は襲名披露公演以来、親子4人揃っての共演となる。襲名当初4人で『連獅子』を演じた時、歌之助はまだ中学3年生で、お兄ちゃんたちについてくるのも手を振るのもやっとだった。自分自身この6年間、芝翫を襲名してどれほど成長したかはわからないが、息子の肉体的、精神的成長、また芸の上での成長を見て、振り返ってみたい。今回は松羽目物(まつばめもの)と呼ばれる舞踊公演で、今は昔に比べて若手の興行がなかなか思うようにできてないので、うちの子どもたちにとっては力を発揮できるよい機会になる。また『操り三番叟』は五穀豊穣を願う演目なので、今回は疫病退散ということで、これを皮切りにもっと巡業ができるようになればと思う。待ち望んでくださっている皆様に少しでも元気を与えて、熱い歌舞伎をご覧に入れたい」


中村橋之助

――父親から見た子どもたちは?
【芝翫】「それぞれ性格が全く違う。橋之助は長男らしい兄弟のまとめ役で、福之助はムードメーカーみたいにみんなを和ませる存在、そして歌之助は兄たちの悪いところまでよく見ている。3人とも凄く仲が良く、芸の話ひとつでもみんなで一緒に考えられて、お互いにいろいろと指摘し合えるのがいい」
――ここを見て欲しい、というところ
【橋之助】「操り三番叟』は(いとこにあたる)勘九郎の兄が演じたものが大好きで、よくその真似をして覚えた。弟とダブルキャストだが、この1、2年で福之助もさまざまお役をやってきて成長してきている。今までは芸の上でのことも自分が言うばかりだったが、お互いに話し合う機会も増えてきた。今回もぶつかり合ったり助け合ったりしながら兄弟の絆を更に深めて行けたらと、楽しみにしている」


中村福之助

【福之助】「『操り三番叟』は小さい頃から何度も見てきた舞踊。昨年の御園座で『阿古屋』に出演した際に、「(岩永左衛門の)人形振りがなかなかうまくいかず、玉三郎のおじさまに、“あり得る動きをすると人形っぽく見えない。不自然な動きをするから人形に見える”というアドバイズをいただいたのが、『操り三番叟』にも応用できると思う。また「宗論」は猿之助のお兄さんとの『連獅子』でもやらせていただいたが、今回は自分なりに工夫してお客さんにも喜んで貰えるように頑張りたい」
【歌之助】「襲名で『連獅子』を披露した際は自分でもいっぱいいっぱいで、みんなに必死にしがみついていたが、今ではもう少し余裕をもって踊れるはず。前半では子どもらしい獅子の可愛らしさを見てもらい、後半は打って変わって荒々しくなる勇壮な獅子の姿を最後の「毛振り」で表現できれば。親子で観に来て頂き、歌舞伎を好きになるきっかけになれば嬉しい」


中村歌之助

【中村橋之助】「久しぶりに家族揃って巡業ができて嬉しい。「WITHコロナの時代」の歌舞伎巡業の先陣を切るという責任を感じつつ一生懸命務めたい。父の戦力になるということが僕の一番の目標だった。こうして父が座頭の公演で、弟2人と兄弟でそうなれる第一歩の公演として心して勤めたい」
【中村福之助】「父や兄弟と一緒に舞台に立つことが少なかったのでとても楽しみ。4年前の襲名披露の巡業以来、猿之助のお兄さんだったり、玉三郎のおじさまだったり、沢山の先輩のところで様々なお役をさせていただいたので、どれだけ僕が成長しているのか、ぜひ期待して観に来ていただけたらと思う」
【中村歌之助】「今回が巡業初参加となる。2020年の3月に高校を卒業してやっと歌舞伎の世界に踏み出して行こうとした時にコロナ禍となり、楽しみにしていた公演が中止となっていろいろと悔しい思いがあったが、この2年間でできる限り学んできたことを、皆さまに今回お見せできればと思う」

◎TEXT/東端哲也

7/14THURSDAY 【チケット発売中】
松竹歌舞伎舞踊公演 四日市公演
■会場/四日市市文化会館 大ホール
■開演/14:00
■料金(税込)/全席指定 S¥7,700(高校生以下¥1,100)A¥6,600
■お問合せ/四日市市文化会館 TEL.059-354-4501
*未就学児入場不可

*その他の公演地情報< https://www.kabuki-bito.jp/theaters/jyungyou/play/747>