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2021年10月15日 <会見レポート!> 園子温監督ハリウッド進出第1弾作品「プリズナーズ・オブ・ゴースト・ランド」
『愛のむきだし』『冷たい熱帯魚』など、奇想天外な展開の作品を撮り続けてきた園子温監督。そんな園監督がついにハリウッドに進出した。この映画「プリズナーズ・オブ・ゴーストランド」はニコラス・ケイジを主演に、時代劇やマカロニ・ウェスタンの要素をふんだんに盛り込んだ色彩豊かな作品に仕上がった。今回は園監督への会見の様子をQ&Aでレポートする。
Q:アメリカから送られてきた脚本を最初に読んだ時の印象は?
園子温監督(以下、園監督)「最初に読んだ時は、面白いというか、製作費がめちゃくちゃかかりそうな内容だなと思いました。でも最初から何でもいいから受けようと思ってたんです。僕は、『愛のむきだし』の映画を作る前から、15年間くらいアメリカに対してプロモーションを仕掛けてました。ハリウッドに出向いて、その筋の関係者に「ハリウッド映画を撮らしてくれ!」と、いろんな会社に掛け合ってたんです。なかなかうまくいかず、トライ&エラーを繰り返してるうちに時間がかかってしまいました。ラブロマンスからアクションからホラーまで、いろんな企画を立ち上げ、うまくいきそうなものもあったけど、結局映画化まではいかなかったんです。この脚本が3年前に送られてきた時、早くハリウッドデビューしたいという想いが強かったので、読む前から基本OKだったんです。何が何でもOKというところから出発した映画です」
Q:プロデューサーからの制約、リクエストはあったのですか?
園監督「プロデューサーからの要望はそんなにたくさんなかったです。クランクインまでに自分なりの色も出せると思っていたし、脚色してリライトも可能だと思ってました。案の上、紆余曲折ありまして、元々の脚本から75%くらいはオリジナルな脚本に仕上げることができました。例えば、坂口拓が演じたキャラクターは、元々の脚本にはなかったんですけど、僕が付け加えたり、いろいろな要素を足し引きしながら変化させていきました。ある程度の許容がプロデュサーにあったので助かりました」
Q:ハリウッド映画でも園イズムをバンバン感じました!
園監督「若い頃にハリウッドデビューしていれば、憧れのハリウッドでもあったし、優等生を目指したかもしれないんですけど、僕もキャリアを重ねながら変化してきたんです。『スカーフェイス』のアル・パチーノみたいに『ハリウッドで成り上がるぜ!』みたいなノリも昔はあったんですけど、そいいうものが全部削ぎ落とされて今に至るので、結局は15年かけてハリウッドデビューと言っても、やってることはいつもといっしょだったんです。あんまり、気取りもせず、馴染もうともせず、僕のいつもの映画の延長線上にある作品に仕上がったと思います」
Q:ニコラス・ケイジさんの役者として魅力は?
園監督「映画プロジェクトがスタートして、1年ぐらいしてからニコラス・ケイジが主演に決まったんですが、なぜニコラス・ケイジなのか?僕自身も謎でした。そんなタイミングでニコラスが来日し、東京で会うことになったんです。その時にニコラスから『前から園監督のファンで『アンチ・ポルノ』を観た時に号泣し、『ノリコの食卓』を観た時は本当に感動した』と言ってくれたんです。すごいマニアックな意見だなと思って、この男は信用できるって思いました。彼は、現場では22歳ぐらいの若手俳優ぐらいに謙虚で、日本でもこんなに謙虚な俳優はあんまり見たことないです。最初に会った時も、1人でぶらっと来て、安い居酒屋で「安いね!」って言いながら飲んでましたから。現場でもスター然とすることなく、ごく普通に監督に言われた通り演じてくれる従順な役者さんでした。とてもやりやすかったです」
Q:ヒロインのソフィア・ブテラさんのアクションも良かったです!
園監督「彼女のキャスティングも謎だったんですけど、あとから聞いたら、直前までギャスパー・ノエの『CLIMAX』に出演していたらしく、その現場に台本が 届いて相談したら、ギャスパー・ノエから『園子温監督の作品なら出演した方がいいだろ!』っ言ってくれたらしく、その一声で出演を承諾したそうです。彼女のアクションは素晴らしかったですね!拓も驚いてました。キレが全然違って、キックの足もすごい上がって、見た目も迫力も満点でした。ソフィアはすごく情熱的な女優です。生まれ育ったアルジェリアでダンサーをやっていたから、女優というより、しなやかで強さがあり、彼女の人生が垣間見える生命力を感じさせてくれるカッコいい女性でした。本当、ギャスパー・ノエに感謝です」
Q:今後のハリウッド作品の予定は?
園監督「次からはアメリカで撮りますよ!来年には2作目、3作目を予定しています。僕にとっては、次からオリジナル脚本で撮れるというのが一番大きいですね。ここからが勝負!ハリウッドでは新人なので、ここから僕が上がっていかなきゃいけないんです。今後はハリウッド映画のフィールドで頑張りますが、愛知のことも忘れず頑張りたいと思っています。応援よろしくお願いします」
◎Interview&Text/川本朗(リパブリック)
10/8 FRIDAY〜【名古屋・伏見ミリオン座 他全国ロードショー】
映画「プリズナーズ・オブ・ゴーストランド」
■監督:園子温
■脚本:アロン・ヘンドリー レザ・シクソ・サファイ
■出演:ニコラス・ケイジ ソフィア・ブテラ ビル・モーズリー ニック・カサヴェテス
■音楽:ジョセフ・トラパニーズ
■配給:ビターズ・エンド