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2013年01月17日 舞台「阿修羅のごとく」


向田邦子。その名前を目にすると、少しドキドキします。
数々のヒット作、名作を量産した売れっ子ドラマ脚本家、エッセイの名手、そして直木賞作家。
美人でお洒落、グルメで料理上手、骨董や書画を愛し、南青山のマンションで猫と暮らすー。
仕事の功績はもちろん、そのスタイリッシュで自立したライフスタイルは女性たちの憧れの的で、
没後30年以上を経た現在も女性誌などでたびたび取り上げられるほどです。
そんな彼女の最高傑作といわれるのが「阿修羅のごとく」。
'79年にNHKドラマとして放送されて以来、映画、舞台にもなっているので、ご覧になったことがある方も多いと思います。
一見、平凡な家族。でも、それぞれが秘密を抱え、お互いへの嫉妬心や猜疑心を隠し持っている。
そんなどうしようもない人間の業を四姉妹それぞれの生き方を軸にえぐり出す、ある意味でとても怖い作品です。
テレビドラマで四姉妹を演じたのは、加藤治子、八千草薫、いしだあゆみ、風吹ジュン。それぞれが、とにかくまぁ魅力的です。(私はリアルタイムでは見ていません、念のため…)特に、潔癖なオールドミスの三女を演じたいしだあゆみ。無愛想で不器用、意地っ張りで生き方下手な女性の内に秘められた心根の優しさや純情、硬質な色気と可愛らしさを巧みに表現し、とても魅力的でした。

この2月、名鉄ホールで新たに舞台版「阿修羅のごとく」が上演されるそうです。四姉妹は、浅野温子、荻野目慶子、高岡早紀、奥菜恵。そしてドラマの鍵となる母親に、加賀まりこ。なんという豪華な顔ぶれ!羅列される文字すら匂い立つようではありませんか。
浅野さん、荻野目さん、加賀さんは、’11年に舞台「8人の女たち」でも共演しています。名古屋公演を観ましたが、素晴らしかった…。G2の独創的な演出が、豪華女優陣の“バトル”感を際立たせていたのも印象的でした。
今回の「阿修羅のごとく」は、上演台本、演出ともに女性です。ひと癖もふた癖もある女優たちを、どう料理するのか。また、板の上で女優たちはどう化けるのか。想像しただけで興奮します。個人的には、三女を演じる高岡早紀に大注目。そして、あの向田ドラマが舞台でどのように甦るのかにも、興味津々です。ファンはもちろん、向田さんを知らない若い人にも、ぜひ観て欲しいと思います。
作家が評価されるべきは、やはり作品だと思うから。
(INABA)

<公演情報>
2/9 SATURDAY 2/10 SUNDAY チケット発売中
「阿修羅のごとく 」
◎原作/向田邦子 ◎上演台本/瀬戸山美咲 ◎演出/松本祐子
◎ 出演/浅野温子、荻野目慶子、高岡早紀、奥菜恵/林隆三、加賀まりこ ほか
■会場/名鉄ホール ■開演/2月9日(土)13:00、17:30、10日(日)13:00
■料金/全席指定¥9,800
■お問合せ/キョードー東海 TEL.052-972-7466(月〜土 10:00〜19:00)
※未就学児入場不可